グランド・ホテル(1933)のレビュー・感想・評価
全9件を表示
【”ベルリンのグランド・ホテルには職業も貧富も様々な人が来て、去って行く。”今作は”グランド・ホテル形式”という言葉を生み出した逸品である。三谷幸喜監督が毎晩泣きながら観ている作品でもある。(嘘)】
■ベルリンのグランド・ホテルには、様々な人々が訪れる。
・人気の落ちたバレリーナ、グルシンスカヤ(グレタ・ガルボ)
・彼女の首飾りを狙う泥棒、ガイゲルン男爵(ジョン・バリモア)
・会社の経営が危機に陥った実業家プレイジング(ウォーレス・ビアリー)と彼が雇った女性速記者、フレムヒェン(ジョーン・クロフォード)と経理係のクリンゲライン(ライオネル・バリモア)
◆感想
・上記の方々が、様々な事情を抱えつつベルリンのグランド・ホテルに宿泊し、繰り広げられる人間関係。
ー それは、時に粋であったり、思惑を含めて居たり・・。-
・今作をこよなく愛する三谷監督が、一時期夜な夜な今作を観て完成させた映画が、「The 有頂天ホテル」である事は万民が知ることであろう。
<曰く有り気なベルリンのグランド・ホテルに宿泊した人々の喜怒哀楽の人生を、一日の出来事で描いた作品。
この作品に影響を受けた映画は数知れずである。
そういった意味でも、今作は貴重な作品であると、私は思います。>
「逆ロードムービー」って感じですね。
<映画のことば>
人々が来ては去って行く。
何事もなかったかのように。
ほんの偶然に一夜を同じ屋根の下で過ごすことになった人々。動かない舞台で、それらの人々の多く人生が交錯してゆく…。
登場人物か固定し、舞台(周囲の情景)の方が常に動いていくというロードムービーの正反対の作品と言ったら良いのでしょうか。
登場人物が動くのか、舞台が動くのか。
両者の間には、違いがないようにも思われました。評論子には。本作を観終わって。
その意味では「逆ロードムービー」というような位置づけなのかも知れないと思いました。
(否、本作のようなスタイルが草分けであるとすれば、むしろロードムービーの方を「「逆グランドホテル形式」とでもいうべきか。)
本作は、いわゆる「グランドホテル形式」というスタイルの元祖である一本は、どんな作品だったのか…。その好奇心から観ることにした一本でしたが、鑑賞前に寄せた期待は、裏切られなかったと考えています。評論子は。
佳作であったと思います。
「大空港」の原点!
各登場人物描写とエピソードは
デフォルメが効き過ぎて
リアリティに欠けるが、監督の力量か、
冒頭の上手い公衆電話のシーンから
ラストシーンまで飽きることなく
観ることが出来た。
グランドホテル方式映画としては
「大空港」の方が現実感があって
全体的に優れているとは思うが、
約一世紀近い前の作品でも映画文化レベル
に現代との差は無いと認識させてくれる
作品のひとつだ。
ドラマチックな構図。
なにも考える余地なくサクサク事が進んでいくストーリーテラー。
昭和8年のアカデミー賞作品賞なのですね。すごく古い。
宿泊客の人間模様を描きだす手法は現代作品と同じ、この作品のスタイルだったのですね。
この作中のガルポはあまり魅力的ではなく、男爵の結末もあっさりと拍子抜けでしたが、
ドラマチックな構図は好きですね。
グランドホテル形式の教科書
入り婿の大社長プレイジンク(フォーレス・ビアリー)は自己の事業が危機に瀕したので他の会社との合併を企てていた。
エキゾチックな踊り子として艶名を謳われたグルシンスカヤ(グレタ・ガルボ)は昨日の人気も失せ、明日にも自殺を決行せん許り全く気力を失っていた。
フォン・ガイゲルン男爵(ジョン・バリモア)は賭博に浮き身をやつしてた挙げ句、多大の借財を負って盗賊団に身を投じていた。彼はグルシンスカヤの宝石を盗み出して債務を逃れんとしていた。
女速記者のフレムフェン(ジョーン・クロフォード)、すこぶる性的魅力のある女で最近プレイジンクに雇われた。
かつてはプレイジングの会社の帳簿係をしていたクリンゲライン(ライオネル・バルボア)は健康を害して自暴自棄になり、せめてこの世の名残にもと、へそくり金でグランド・ホテルに。
グルシンスカヤの170号室に忍び込んだ男爵だったが、彼女が劇場から戻ってきてしまい、危機一髪。彼女は落ち目であることに嘆き、自殺しようと決心するのだが、機転を利かせた男爵は自殺を止め、ずっと好きだったと愛の告白をする。たちまち恋に落ちた二人。彼女も短絡的に立ち直り、二人で次の公演のあるウィーンへ行こうと約束する。そんな男爵、ちょっと前にはフレムフェンとデートの約束をしていた・・・まぁ、それだけ優しく女性の扱いが上手いプレイボーイといったところか。
金が必要となった男爵。何しろ借金取りに追われ、ホテル代も持ってないのだ。余命わずかのクリンゲラインと仲良くなったこともあり、カードで勝負しようと彼を誘う。失意のどん底なのか酔っぱらってるだけなのかわからないクリンゲラインは初体験のギャンブルでバカヅキ!部屋に戻っても男爵は彼の財布を盗もうとする。
なにしろ明日はグルシンスカヤと旅立たねばならない男爵。今度はプレイジングの部屋に忍び込むが罵倒され殴られ・・・そして殺されてしまった。目撃したフレムは警察を呼び、クリンゲラインの部屋で亡き人を惜しむ。慰め合っている二人は恋に目覚め、病気なんかも吹っ飛ばしてしまう勢いでパリへと旅立つのだ。男爵が死んだことなどつゆ知らず、グルシンスカヤはウィーンへと旅立つ・・・
“グランド・ホテル形式”という言葉を生んだこの映画。やはり人間関係と人生の浮き沈みを描く手法に唸らされる。嘘も方便で合併話が成功しそうだったプレイジングは殺人犯人。落ち目のダンサー・グルシンスカヤが自殺志願から生きる希望を見いだしたのに悲劇を迎え、今にも死にそうだった男が明るい未来を見つける・・・
それに金のために嫌なボスの下で働くという資本主義社会の陰の部分もあぶり出す。安い給料でつつましく生きていた二人が最も幸せになるという皮肉も表現されていた。
グレダ・ガルボよりジョ-ン・クロフォードの方が印象的。オールスター...
グレダ・ガルボよりジョ-ン・クロフォードの方が印象的。オールスターキャストというだけで映画の内容は可もなく不可持たせなく。何故アカデミー作品賞?というのが正直な感想。
グランドホテル形式!
ちょっと映画史的な興味で見てみました! たしかに、今でも散見する形式ですね。その原点がこの映画ってことなのね?
この形式自体の面白さは分かるんですけど、私としてはどうもそれだけでは楽しめなかった感じがありますね。男爵は魅力的だったけど、グレタ・ガルボもジョーン・クロフォードも、あんまり美しいって感じなかったなぁ。やっぱり女優に惹きつけられることが少ないと乗り切れない感じがあるなぁ、と。あと、テンポがちょっと悪かったかなぁって。
ということで、申し訳ないっす、有名だけど、私にはちょっと合わなかったってことで。
これがあの有名な・・・
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 75
ビジュアル: 60
音楽: 60
一つの場所を基点にして、行くものも去るものもそれぞれが事情を抱えている。舞台は一つだが、そこに集う人々の人生の悲哀を追いかける。これがグランド・ホテル形式と呼ばれるようになった手法ですか。今となってはこのような作品やそれを発展させたような作品はいくつもあって目新しさはないが、この時代にはやはり革新的だったのだろう。未だにこのような作品が作られるというのが、その手法の先見性とともに普遍性を物語っている。
もうひとつどんなものかと期待していたのは、伝説の女優クレタ・ガルボ。名前だけは知っていても、古い時代の女優なので残念ながら出演作を見たことが無かった。凛とした人を寄せ付けないような美しさがあった。かつては栄光を見たのに人気の陰りで崩れそうになるのが、この世界に生きる浮き沈みの厳しさを物語る。それがクレタ・ガルボのその後の人生と重なるのが何ともまた厳しい。そのときの彼女の心境はまさにこのときのようなものだったのかもしれない。
それなりに楽しんだけど、古い映画でもあるし現代には色々な作品があるし、世間の高い評判ほどすごく面白いと思ったわけではなかった。でもこの時代にこのような手法で作られた元祖的作品を見れてよかった。ガルボだけでなく、美しい秘書のクロフォード、借金漬けの男爵と病気の会計係の両バリモアの演技と人生も良かったです。
全9件を表示