劇場公開日 1933年10月5日

「グランドホテル形式の教科書」グランド・ホテル(1933) kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0グランドホテル形式の教科書

2018年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 入り婿の大社長プレイジンク(フォーレス・ビアリー)は自己の事業が危機に瀕したので他の会社との合併を企てていた。

 エキゾチックな踊り子として艶名を謳われたグルシンスカヤ(グレタ・ガルボ)は昨日の人気も失せ、明日にも自殺を決行せん許り全く気力を失っていた。

 フォン・ガイゲルン男爵(ジョン・バリモア)は賭博に浮き身をやつしてた挙げ句、多大の借財を負って盗賊団に身を投じていた。彼はグルシンスカヤの宝石を盗み出して債務を逃れんとしていた。
 女速記者のフレムフェン(ジョーン・クロフォード)、すこぶる性的魅力のある女で最近プレイジンクに雇われた。

 かつてはプレイジングの会社の帳簿係をしていたクリンゲライン(ライオネル・バルボア)は健康を害して自暴自棄になり、せめてこの世の名残にもと、へそくり金でグランド・ホテルに。

 グルシンスカヤの170号室に忍び込んだ男爵だったが、彼女が劇場から戻ってきてしまい、危機一髪。彼女は落ち目であることに嘆き、自殺しようと決心するのだが、機転を利かせた男爵は自殺を止め、ずっと好きだったと愛の告白をする。たちまち恋に落ちた二人。彼女も短絡的に立ち直り、二人で次の公演のあるウィーンへ行こうと約束する。そんな男爵、ちょっと前にはフレムフェンとデートの約束をしていた・・・まぁ、それだけ優しく女性の扱いが上手いプレイボーイといったところか。

 金が必要となった男爵。何しろ借金取りに追われ、ホテル代も持ってないのだ。余命わずかのクリンゲラインと仲良くなったこともあり、カードで勝負しようと彼を誘う。失意のどん底なのか酔っぱらってるだけなのかわからないクリンゲラインは初体験のギャンブルでバカヅキ!部屋に戻っても男爵は彼の財布を盗もうとする。

 なにしろ明日はグルシンスカヤと旅立たねばならない男爵。今度はプレイジングの部屋に忍び込むが罵倒され殴られ・・・そして殺されてしまった。目撃したフレムは警察を呼び、クリンゲラインの部屋で亡き人を惜しむ。慰め合っている二人は恋に目覚め、病気なんかも吹っ飛ばしてしまう勢いでパリへと旅立つのだ。男爵が死んだことなどつゆ知らず、グルシンスカヤはウィーンへと旅立つ・・・

 “グランド・ホテル形式”という言葉を生んだこの映画。やはり人間関係と人生の浮き沈みを描く手法に唸らされる。嘘も方便で合併話が成功しそうだったプレイジングは殺人犯人。落ち目のダンサー・グルシンスカヤが自殺志願から生きる希望を見いだしたのに悲劇を迎え、今にも死にそうだった男が明るい未来を見つける・・・
 それに金のために嫌なボスの下で働くという資本主義社会の陰の部分もあぶり出す。安い給料でつつましく生きていた二人が最も幸せになるという皮肉も表現されていた。

kossy