「要は手法でなく内容」グランド・ホテル(1933) odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
要は手法でなく内容
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MGMが総力挙げて作った伝説の映画、たまたま同じホテルに宿泊した客たちの織り成す群像劇。
落ち目のロシアのバレリナー(グレタ・ガルボ)や医者に見放された会社員(ライオネル・バリモア)とその会社の狡猾社長(ウォーレス・ビアリー)、金欠美人速記係(ジョーン・クロフォード)、それらを繋ぐ横糸が落ちぶれた貴族の泥棒(ジョン・バリモア)という役どころなのだが殺されてしまう。
かといってサスペンス映画ではなくシチュエーションコメディでもない、人間ドラマを掘り下げようにも時間も場所も限定的なことが仇になる。結局、セリフで心情を語らせる演出となりスター鑑賞会に成り果てる。宿泊に至った経緯を電話シーンで長々と説明したりロビーでの出会いで人物紹介を兼ねたり本筋に入るまでの段取り感がかったるい。正直、高級ホテルという設定だと客のプライバシーに興味を持つこと自体が下世話に思え聞き耳を立てる気になれない。そういうニーズがあることは致し方ないがテレビのワイドショーにも壁癖している日常ではシチュエーション自体がどうでもよく思えてくる。要は手法でなく内容次第なのだが時代も文化的背景もいささか古すぎて映画のお勉強をさせて頂いたということに尽きましょう。
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