「◇ コロッセウムと熱狂」グラディエーター 私の右手は左利きさんの映画レビュー(感想・評価)
◇ コロッセウムと熱狂
ローマ帝国の皇帝は、不満を持った市民たちを懐柔するための娯楽施設として円形闘技場を建設しました。<パンとサーカス>娯楽による心理的利己主義の普及です。国民を政治的無知状態に陥れさせ、その批判力を奪おうとする愚民政策です。
80年、コロッセオ完成の際の奉献式では、剣闘士試合で様々な猛獣5000頭が殺され、数百人の剣闘士が命を落としたとされます。
競技場の歓声は、その場にいるだけで私たちの熱狂を奮い立たせます。さらに、そこで生死を巡る戦いが繰り広げられれば、より一層盛り上がるものだったのでしょう。劇場で鑑賞するこの作品「グラディエーター」は、そんな集合興奮状態を疑似的に体験させてくれる映像と音響の迫力に満ちてます。
妻子を殺された男の復讐の物語。オーソドックスな勧善懲悪的な展開。正義の側の男の姿は愚直で単調にさえ感じられる一方で、悪の側の屈折した内面の奇抜さが印象深く焼き付けられます。そこには、為政者の奢りや近親相姦的な倒錯、人の生命さえも弄ぶ幼児的嫉妬心が渦巻いています。
王道の歴史スペクタクル。近日公開のパート2の予習と若き日のホアキン・フェニックスの悪役演技の復習を兼ねた迫力満点の鑑賞時間でした。
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