禁じられた遊び(1952)のレビュー・感想・評価
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時に人は悲劇に心を動かす
あどけない子供の無邪気な遊びが、保護者の逆鱗に触れ、少女はすべてを失う。強烈な印象を受けたラストの哀しい呼び声。そしてなんといっても、印象的なギターの調べ。戦争の影は、いろんなところに影を作り、子供にも容赦なく襲い掛かる。これは、日本語タイトルの付け方の見本のような名作でしょう。
子供たちから見た死
悲しいがナィーヴで美しい
よい映画だと思った。
冒頭シーンが鮮烈。逃げ惑う人びとを機銃掃射がしつこく追う…。まるでゲームのシーン。しかしターゲットが生身の普通の人間たちだから気分が悪い。機銃掃射の玉が、速く鋭く重い、凄いパワーをもったヤバいものだと、ビンビン伝わる。尊厳だの思いやりだの命の尊さなんぞかけらもない。私たち人間はこんなことをしているのだよと、しょっぱなからガーンと叩きつけられた。
ポーレットとミシェルの弔いごっこの世界は、それとは真反対な世界だった。虫けら一疋のいのちでさえ神秘に満ちたものとして丁寧に扱われる。そこには安らぎ、共感、慰めがある。大好きなポーレットのためにミシェルは様々な十字架を掻き集めてくる。そうして出来あがった墓の山の数々は、なんと温かみがあり美しいことか。
田舎人と都会人(ユダヤ人?)の対比、カトリック教会のありかた、ドレ家の良心的だが現実的で鈍感な人びと、兵役など、色々な角度で気になる
でも何より子役ふたりのきれいな瞳と、せつなく美しい音楽、それらのナィーヴな魅力にこころをぐいっと掴まれる。
禁じられた十字架遊び‼️
ナルシソ・イエペスの有名すぎるギター曲がホントに忘れられません‼️"禁じられた十字架遊び" に夢中になる二人の子供たちを通して戦争の悲惨さを描いた反戦映画の名作なのですが、凄まじい緊迫感が盛り上がる空襲シーンの恐ろしさ、死んでしまった母の頬を撫でるポーレットといったリアリズム描写、一転して幼い子供たちの会話や十字架遊びのシーンの微笑ましい詩情性が対照的に描かれ、そして「ママ、ママ」と叫びながら、ポーレットが駅の人混みの中へ消えていくラストシーンの絶望的な悲しみまで、ドラマチックに盛り上げる主題曲の存在感はホントに素晴らしい‼️この作品を観ていると映画にとって音楽がいかに大事か痛感させられます‼️
まるでジブリのよう
「愛のロマンス」
このギターの曲、こんな名前だったのですね
最初にこの映画を見たのは たぶん中学生の頃
見るには見たけど少しも心に残っていなかった
戦争のせいで孤児になったポーレットが少年とお墓を作って最後は迷子になって終わり
かわいそうだな〜 くらいにしか思わなかった
少年の名前すら知らなかった
ミッシェル、そう、彼はミッシェル
これはポーレットとミッシェルのほんのささやかな小さな小さな恋の物語だったのですね
牛を追う途中でポーレットと出逢い恋が何かもわからないまま好きになってしまったとでしょう
ポーレットもまたミッシェルを好きになり共にいることが唯一の楽しみでとても幸せだったんじゃないかな
とても幼いポーレットとミッシェルの恋の物語
戦争が作り出した出会いと別れ
ポーレット、どうか幸せになって下さい
永遠に名作であり続けるでしょう
幼な子の瞳に映る「死」
1952年(フランス)監督:ルネ・クレマン。原作:フランソワ・ボワイエ。
舞台は1940年6月のフランスの田舎町。
5歳のポーレットは両親と犬とで疎開の途中、ドイツ軍の空爆に合う。
橋の上で機銃掃射により両親と犬は爆死してしまう。
彷徨っていたポーレットは農家のドレ一家に助けられて寝泊まりさせて貰う。
ドレ家の末っ子ミシェルとポーレットは気が合い友だちになる。
わずか5歳のポーレット役のブリジット・フォッセーが、年端もいかない幼女を
マセた表情で無邪気に演じている。
ポーレットには両親の死が本当はよく分かっていないのではないか!!
死を当たり前に目にする非常時に、神経は麻痺して両親の死が実感として湧かない。
事実ポーレットには涙も取り乱すこともない。
むしろ死んだ愛犬の死を余計悲しんでいるように見える。
ミシェルから、弔いの言葉や、墓には十字架を飾ることを聞く。
墓に惹かれたポーレットは、モグラやひよこの死体を埋めるのにも、綺麗な十字架を欲しがるのだった。
新聞もすらすら読めるし、家族に代わってお祈りの言葉を献げる頭の良いミシェル。
彼には十字架を奪うことの意味が分かっていた筈です。
そしてポーレットの身に起こる出来事。
彼女が戦災孤児だということを嫌と言うほど知らされます。
たった3晩の出来事。
その3晩でポーレットの運命は激変している。
戦争がポーレットの幸せを一瞬にして奪った。
冒頭から何度も流れるテーマ曲「愛のロマンス」
日本では「禁じられた遊びのテーマ」として愛されている名曲です。
ナルシソ・イエペスがギター1本で演奏しています。
戦争の悲惨を静かに訴えています。
う〜ん… もっとイノセンスな映画かと思ってた…
すっかり存在すら忘れていた映画だったが、先日まで開催されてた「楳図かずお大美術展」における『わたしは真吾』のパラレルワールド”Zoku-Shingo”のBGMとして、あの懐かしの名曲が流れていて、妙に心に残っていたのだが、
今月いっぱい一週間だけアップリンクで上映!2Kリマスター版!しかも、日本最終上映ではないか!
まあ日本最終上映っていうのは、いつも結局は最終ではなかったりするのだが…
また『気狂いピエロ』をやるようだし。
とは言え、この映画は本当に暫くは上映が無いような気がしたので、吉祥寺まで行ってみた次第。すると平日お昼前にも関わらず、ほぼ満席状態。
元々、窮屈なミニシアターは嫌いなので、Amazon prime で観てメチャクチャ良かったら、後日改めて行こうかと思い、画質は悪いだろうとは思いつつも、鑑賞してみたのだが…
もっと救いようがないほど、理不尽かつ切なくイノセンスな映画かと勝手に想像してたので、ちょっと予想ハズレだったかな。
あのルネ・クレマンなら、もうちょっと脚本は、どうにか出来たと思うけどなあ。3人で脚色したのが裏目に出たか?
両親の死よりも愛犬の埋葬に夢中になるなんて、4〜5歳くらいの女の子にしても、やはり無理がある。
少年の方も10歳くらいにはなっていたと思うので、既に其れ相応の倫理観は身についているはず。あのエスカレーションはないだろう。
あの展開で敢えて突っ走るなら、もっと子供特有のダークなギャグを連発しないと!フィクションとしてのリアリティが出てこない…
無垢というよりは、仏語や英語の本来の意味でのNaiveって感じ。
あと、冒頭の犬の扱いの酷さには唖然としてしまった。あの足の痙攣は毒でも盛ったのか?死後硬直も全くぬいぐるみには見えなかったなあ。あの時代では、動物愛護の倫理観など、未だ無かったのだろうか?
最後の少年の呟きは、名台詞だったとは思うし、あのフクロウもなかなか名演だったとは思うが、結局のところ、名作と言われ続けているのは、全てあの名曲のおかげなのだと思う。
半世紀ぶりに観た名作が実はエスプリがガッツリ効いた反戦風刺コメディでした
この作品とともに記憶に残っているのはナルシソ・イエペスが奏でたあのアルペジオ。あれも“禁じられた遊び“と呼ばれることが多いですが“愛のロマンス“と呼ばれたりもします。実際あの曲が映画に使われたのは実は2度目で、1941年の『血と砂』というアメリカ映画が先であるとのこと。であれば“禁じられた〜“と呼ぶのはちょっと違和感があるので“愛のロマンス“がぴったりきそうですが、個人的にはRomance Anónimo、“名もなきロマンス“がいいなと思っています。実際作者不明の曲でその起源については諸説ある作品。元はウクライナ民謡ではないかという説もあったりして非常にミステリアスで興味深いです。
驚異的なのはナルシソ・イエペスは当時弱冠24歳、そんな新進気鋭のギタリストがギター一本で劇伴を丸ごと仕上げているということ。パリでたまたまルネ・クレマン監督と出会い、映画は撮り終わっていたもののどんな劇伴をつけてよいか迷っていた監督に依頼されたようです。既に予算も使い切っていたのでギターだけの劇伴隣、ひいては世界中で知られる名曲となったわけですから、名作というのはその周りに転がっている逸話までがキラキラと輝いています。
70年前の作品であることを忘れるくらい新鮮でみずみずしい作品。そして実に意外なことに切れ味鋭いエスプリが効いた風刺コメディ。冒頭の戦争映画さながらに凄惨な空爆シーンに度肝を抜かれますがその後はミシェルとポーレットが繰り出すキュートなボケツッコミも素晴らしいですが、村人達が繰り広げる微笑ましい喧騒にもイチイチ爆笑させられるのであの余りにも有名なラストシーンの切なさが俄然際立ちます。そして何よりミシェルとポーレットが始めた“禁じられた遊び”が象徴するものが今もなお繰り広げられている現実に沈鬱な気分となります。
悲しい物語
良い映画
超強力な反戦映画
まだ年端もいかない少女ポーレットが、 機銃掃射で人を殺しながら爆音を響かせて飛び交う爆撃機の下を、子犬を追いかけて走る。 その光景が、実際に見てしまったかのように焼き付いてしまった。 若い頃に一度観た名作だが、歳をとってから見ると、かなり精神的にキツイ。 ラストシーンの後は、なんともやりきれない気持ちが残ってしまった。
ポーレットにとっては、戦争も、両親の死も、十字架遊びも、きっと大差はない。 何を優先すべきかといった判断力もない。 彼女はまだ、快が不快かを他人に伝えることぐらいしかできない幼児なのだ。 そんな幼い彼女が、戦時下の無常な状況変化に翻弄される。 そして最後は、「ママー、ミッシェル」と泣きながら、雑踏の中へと姿を消していくー。
この映画の凄さは、幼い子供のいたいけな姿を見事にフィルムに再現していることに尽きる。 ただそこだけだと言ってもいい。 誰も他人を助ける余裕がなく、物資はおろか、人の優しさまでもが極端に不足した戦時下で、状況になんとか反応する力しかない幼児が、両親を亡くしてたったひとりきりで泣いているのだ。 映画の中の物語とはいえ、この状況を見て心穏やかでいられる人はいないだろう。
どの国でも実際の戦時下では、孤児になったり一人で死んでいった幼児など数えきれないほどいたはずだ。 当時は、手を差し伸べられなくても仕方がないで済まされた。 というか、済ますしかなかったのだろう。 しかし、少なくとも平和な現在では、いや、平和でなくとも、もう絶対に許されないのだ。 幼い子供の心に重い痛みを負わせることも、一人きりにさせることも、絶対に許されない。
禁じられた遊びとは、戦争のことを言っているのではないかと思う。 制作者たちの戦争に対する激しい怒りが封じ込められた、超強力な反戦映画である。
【”無垢なる罪” 哀愁帯びたナルシソ・イエペスのギター独奏”愛のロマンス”に彩られた反戦映画の名作。】
ー 第二次世界大戦中、ドイツ軍によるパリ侵攻からの逃避中、機銃掃射により、両親と愛犬を喪ってしまった5歳の少女、ポーレット。
独り、川に投げ込まれた愛犬の亡骸を胸に、彷徨う中、11歳の貧しき農民の少年ミシェルと出会う。ミシェルから”死んだら、土に埋めて十字架を供えるんだよ・・”と言われる。
ポーレットは、ミシェルの家に引き取られ、二人は、様々な小動物、虫たちのお墓を作る。
だが、そのお墓に備える十字架が、無かった・・。。ー
◆感想
1.この作品を名作にした要因は、観れば分かる。
・その一点は、戦災孤児となってしまったポーレットを演じたブリジット・フォッセーの無垢なる可愛らしさと、彼女を懸命に楽しませようとするミシェルの子役二人の際立った魅力である。
・もう一点は、40歳以上の映画好きであれば(映画好きでなくても・・)一度は耳にしたと思われる、ナルシソ・イエペスによる哀愁に満ちた『愛のロマンス』のギター独奏の音色である。
2.無垢なるミシェルが、ポーレットを喜ばせるために、小動物、虫たちのためにお墓を作り、14本の十字架を教会や霊柩車から盗んで来てしまう姿。
一方で、聖書に通じた彼は、自らの罪を告解するのである。
そして、彼らの罪が明らかになり、ポーレットは赤十字に連れて行かれる・・。
<1952年製作、日本公開は1953年の、ルネ・クレマン監督の、反戦映画の名作である。
撮影技術が飛躍的に進歩した現代でも、十二分に製作者たちの反戦の想いが伝わる作品でもある。>
・小学生時代、映画好きの父親に”この映画は観なさい。”と言われ観賞したが、哀愁を帯びた音楽のみ記憶に残る。
<2018年10月頃 長野県長野市の千石劇場にて、初めて字幕版を大スクリーンにて鑑賞>
<2021年8月9日 別媒体にて再鑑賞>
ギターのBGMが良い
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