恐竜グワンジ

劇場公開日:

解説

ウィリアム・バストの脚本の「チビッコの大脱走」のジェームズ・オコノリーが監督した怪獣もの。撮影は「栄光の座」のアーウィン・ヒリアー(ダイナメーションという特撮方法を使用)音楽は「レーチェルレーチェル」のジェローム・モロス、編集はヘンリー・リチャードソンが担当した。出演はテレビ「ミスター・ノバック」のジェームズ・フランシスカス、「愚か者の船」のギラ・ゴランほか。製作はチャールズ・H・シニア、共同製作と特殊効果をレイ・ハリーハウゼン。

1969年製作/アメリカ
原題または英題:The Valley of Gwangi
配給:ワーナー
劇場公開日:1969年7月19日

ストーリー

1912年頃。メキシコに住むジプシーのカルロスは“禁断の谷”と呼ばれている渓谷の入り口で兄が死んでいるのを発見した。何者かによって、ひどく攻撃され、手には麻袋を握っている。そして数年。カルロスは近くの町のサーカスに入った。女座長のテレサ(ギラ・ゴラン)のもとで働いていたが、ある日のこと、テレサのかつての恋人で、今はライバルのサーカスで働くタック(ジェームズ・フランシスカス)がやって来た。カルロスは、例の麻袋を彼に見せ、彼は古生物学者に見せた。すると、その袋の中身は、すでに5000年前に死に絶えたはずの動物だという。それを聞いたサーカスの連中、これは商売になると、ジプシーたちに道案内させ、禁断の谷に向かった。そこは、世にも恐ろしい怪獣の谷だった。とりわけ、グワンジと呼ばれる怪獣は身の丈35メートルもある。怪獣どおしの血みどろの争いも展開され、カルロスは殺される。しかし、ふとしたはずみに、グワンジは、落ちてきた岩石の下敷きとなり、身動き出来なくなった。一行はグワンジを生け捕りにして帰り、サーカスの見せ物とした。さて開幕の日、グワンジは暴れ出し町は大騒動。町はずれの寺院まで追いつめたが捕まえるすべもない。その時タックは、寺院にあった中世の槍をグワンジの頭がい骨めがけて打ちこんだ。さすがの恐竜にも致命的な一撃であった。苦しみにのたうち、燃えるランプを倒し、炎のかたまりと化した寺院の中で、息絶えていった。

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映画レビュー

3.0カウボーイ&ダイナソー

2022年9月1日
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鑑賞方法:VOD

楽しい

単純

興奮

レイ・ハリーハウゼン特撮の1969年の作品。 20世紀初頭のメキシコ。“禁断の谷”から一人の男が帰り息絶えるも、珍獣を連れ帰った。 “小馬”。“子馬”ではなく、文字通りの身の丈が小さい“小馬”。5000万年前に絶滅した筈…。 その小馬が発見された禁断の谷へ。谷を抜けた先に拡がっていたのは… 有史以前の世界。 そこには、絶滅した筈の恐竜たちが…! その昔『カウボーイ&エイリアン』ってのがあったが、こちらはさながら“カウボーイ&ダイナソー”。 西部劇×恐竜映画。大衆好みのB級グルメの二種盛り合わせ。 公開中の『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』の冒頭でクリス・プラットが馬に乗って恐竜を追うシーンがあるものの、著名なタイトルで西部劇×恐竜は本作ぐらいではなかろうか。(その『ジュラシック~』も案外本作へのオマージュだったりして…?) 日本でも時代劇×怪獣の『怪竜大決戦』という知る人ぞ知る東映による特撮の名作が。 日米共に、自国の十八番のジャンルに特撮を融合させるのは、クリエイターやファンの夢なのである。 前半は西部劇。再会した元恋人同士のカウボーイとサーカスの女性パフォーマー、古生物教授、ジプシーらが小馬を巡って思惑繰り広げるが、はっきり言ってドラマは単調。まあ、それは想定内。 西部劇から恐竜映画へ。いよいよ“主役”のグワンジが登場して、面白くなってくる。 大型肉食恐竜のグワンジ。設定はアロサウルスらしいがモデルはティラノサウルスで、その辺は曖昧だが、グワンジの動きはさすがのハリーハウゼン特撮演出! 今のCG恐竜より巧みに見える。 他にも大型草食恐竜(スティラコサウルス)、人間大の恐竜(オルニトミムス)、翼竜(プテラノドン)も登場。 恐竜もさることながら、小馬=エオヒプスやクライマックスに登場する象も見事。 カウボーイらと恐竜の闘いはダイナメーションや実寸大の模型を駆使。 グワンジ対スティラコサウルス、グワンジ対象など見せ場もしっかり設けている。 ストップモーション手法でハリウッドの特撮の神と知られているが、と同時にハリーハウゼンは娯楽派の巨人だ。 本作はハリーハウゼンが『ロスト・ワールド』や『キング・コング』の特撮を手掛けた師であるウィリス・オブライエンが企画しながら果たせなかったものを引き継いで実現。 なので、展開はそれらを彷彿。グワンジを生け捕りにし、町に連れ帰って見せ物にしようとするが、逃げ出し暴れ出し、最期は…。 このテイストは一貫。いつの時代も人間の傲慢は変わらず、犠牲になるのは人間たちより寧ろ…。 ハリーハウゼンのモンスターや恐竜たちへの愛情や眼差しは永遠だ。 西部劇×恐竜映画。 強引で荒唐無稽な点もあるが、面白味やワクワクは充分。 リアル設定の恐竜映画もいいが、本作のように単純に娯楽に徹した恐竜映画、“二種盛り合わせ”があってもいい。 誰か作ってくれないだろうか。現代のハリーハウゼンのようなクリエイターが。

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近大

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