劇場公開日 1951年11月2日

「【今作は長年騎兵隊長を務めて来た男が、最後の任務を誇りを持って勤め上げる姿に焦点を当て、敢えてネイティブ・インディアンとの活劇シーンを抑えて描いた西部劇なのである。】」黄色いリボン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【今作は長年騎兵隊長を務めて来た男が、最後の任務を誇りを持って勤め上げる姿に焦点を当て、敢えてネイティブ・インディアンとの活劇シーンを抑えて描いた西部劇なのである。】

2024年10月9日
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ー 今作が、貴重な作品だと思うのはネイティブ・インディアンを悪役として位置づけつつ、彼らの蛮行シーンを直接的に描いていない所だと思う。
  ジョン・フォード監督が、ネイティブ・インディアンに対する”白人入植者”達の1600年代からの”迫害”(他の1940年から1960年代の多くの西部劇では、それがヒロイックに描かれているし、それが西部劇の人気に繋がっていた。)の事実を考慮していたかどうかは判らないが、今作ではあくまで退役間近の老騎兵隊長の生き方にフォーカスしている所が異色でありつつも、私は良いと思うのである。
  それが、活劇シーンの少なさに繋がり、”迫力が無い”という意見が出るのかもしれないが、今作では白人少尉たちの隊にいた女性オリビアを巡っての争いなどを描くことで、白人=”善”という描き方をしていない点が、面白いと思うのである。

  ご存じの通り、現代のネイティブ・アメリカンは特別保留区に保護され、政府から手厚い”保護”を受けながら生活している方が多いと、文献には書いてある。
  働く必要が無い”飼い殺し状態”のため、多くの方がアルコール中毒になっている。この辺りを描いた、テイリー・シェリダンによる逸品「ウインド・リバー」は機会が有れば、観賞しても良いのではないかと思う。

  又、邦画で、近年アイヌ民族について描いた作品が連続して製作・公開されている事は良い事だと思う。
  だが、アメリカでは1960年代後半から黒人の反白人映画が多数描かれるようになってきたが、何故かネイティブ・アメリカンについて描いた作品は少ないのである。

<今作の秀でている点は、ネイティブ・アメリカン(インディアンという呼称は、私は使わない。)VS白人という従来の西部劇の構図をベースとしつつ、あくまでも一人の長年騎兵隊長の男としての生き方に焦点を当てている部分ではないかと、私は思うのである。>

NOBU