「退役間近の粋な老兵をジョン・ウェインが好演」黄色いリボン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
退役間近の粋な老兵をジョン・ウェインが好演
「アパッチ砦」(1948)に続くジョン・フォードの騎兵隊3部作の2作目。「アパッチ砦」の翌年の製作だが、日本では本作の方が2年早く(1951)公開された。
退役間近い騎兵隊長をジョン・ウェインが好演。
曲がったことが嫌いな老兵らしく、部下には厳しく接する。とくに自分が去ったあと部隊を任せる若きコーヒル中尉に対しては、口を挟む余地がないほど厳しい。だが、「アパッチ砦」の指揮官サースデイ中佐とは違い、部下に対して愛情がある。
危険な任務のときは「第二部隊は妻子持ちが多い」と言ってほかの隊をあてるよう中尉にアドバイスする。また、長年の部下で問題を起こしやすいクインキャノン軍曹が無事に退役を迎えられるよう、わざと逮捕させて営倉にぶち込んだり、粋な計らいを見せる。
今作はカラー作品で、カラー部門でアカデミー撮影賞を受賞しているが、公開当時、日本人はその色彩の美しさはもちろん、壮大なアメリカの風景に驚いたことだろう。
長い移動では、馬を休ませるため時々降りて徒歩で進軍するなど、トリビア的発見も楽しい。
また、ジョン・ウェインとヴィクター・マクラグレンの距離感が「アパッチ砦」よりぐっと縮まり、ふたりの絡みが楽しくなった。次作「リオ・グランデの砦」でも共演しており、ふたりのやりとりは騎兵隊3部作の名物となる。
インディアン監督官がインディアンに武器を売りつける“闇”も描かれ、駅馬車の中継地での戦闘と合わせ数名の犠牲者が出るが、この作品、大筋では彼我共に死者が出ない。
騎兵隊の日常を追った一大叙事詩といった作風になっている。
いつも隊に同行する犬が映像にアクセントを添える。
オリヴィアを巡るコーヒル中尉とペネル少尉の三角関係も気になるが、見どころは退役直前の土壇場で作戦から外されてしまうネイサンが、隊員一同から記念に贈られた純銀時計を片手に、時間ぎりぎりまで隊に合流する終盤だ。
インディアンの集落を、数百頭の馬と共に駆け抜けるシーンは圧巻。ここでも犬が元気だ。
いよいよ退役を迎えたネイサン。ひとり新天地カリフォルニアを求めて西に向かうが・・・。ちょっといい話が彼を待っている。