劇場公開日 1977年12月17日

「徐々に真相が明らかになっていく」ガントレット 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0徐々に真相が明らかになっていく

2024年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 初めはただの証人の護送任務として始まるストーリーが、身内であるはずの警察や裁判関係者などが加担する大きな陰謀が潜んでいる。主人公の刑事ベンは、自分が濡れ衣を着せられている状況を徐々に理解していく。ここで、普段の勤務態度がよろしく無いと思われるベンが護送任務の実行者として選ばれたのは、彼が濡れ衣の対象として好都合だからということに観ていて気づく。しかしベンが思いの他有能だったのは、首謀者にとって誤算だっただろう。単純に悪の組織が追ってくるといった展開では無いところが面白い映画。

 ストーリーは、大勢の警官や裁判者関係者などを巻き込んだ大掛かりな陰謀にしては、その後の展開を予想させるだけに留まる、あっけない終わり方をするのが物足りない。

 演出面では、大勢の警官がバスを銃撃で蜂の巣にする終盤のシーンは、映画としての盛り上がりを優先させ過ぎていて不自然な気がする。そこまで抹殺したいのならば爆弾でも使用するか、タイヤをパンクさせてから確実に殺しにかかるべきなのになぜかそうしない。
 それから、これだけ多くの警官を動員して市全体を警戒態勢に置くと、テレビ局などからも相当な注目を集めることだろう。すると、なるべく内密に事件を処理したいはずの首謀者としては気が気でないんじゃないだろうか。そもそもここまで警官を動員できるほど公権力を濫用できるのもおかしい。この辺は違和感があった。

根岸 圭一