かわいい女(1969)のレビュー・感想・評価
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ブルース・リーがひとしきり暴れしたのち、勝手に窓から転落
レイモンド・チャンドラー原作の“フィリップ・マーロウ探偵”シリーズの一本。 私の大のお気に入りだったジェームズ・ガーナー氏の主演作品。 ガーナー氏と言えば、小学生時に観た『大脱走』やシネラマ映画『グランプリ』、『墓石と決闘』『36時間』が特にお気に入りで他にも『夕陽に立つ保安官』『地平線から来た男』『砦の29人』の‘60年代作品から、晩年の『スペース・カウボーイ』などまで息の長い俳優さんでした。 個人的には特に『スティングレイ』のトロイ・テンペスト(の顔)や、TVの主演シリーズ『保安官ニコルス』は大好きで、欠かさず観ていた。 そしてその後は、今作と同様の“私立探偵”に扮してヒットを飛ばし、長寿番組で代表作ともなった『ロックフォード氏の事件メモ』が忘れられません。 シリーズ終了後にも、TVスペシャルで後日談もやった。 チェロキー・インディアンの血を継ぐという同氏は、とある映画関係のパーティー会場で、ジョン・ウェインと殴り合いの喧嘩をやったという武勇伝もある、気骨のある人物。 愛嬌のある見た目よりも、実際はずっとタフ・ガイな方なんですね。 そういう意味では、マーロウ役って実は適役だったとも言えそうです。 事務所に因縁をつけに来て、室内を破壊してひと暴れした挙句に、窓を突き破って勝手に転落死した(と思われる)敵の用心棒として、無名時代のブルース・リー氏が登場しているのは、スターリング・シリファント繋がりと思われます。 制作のガブリエル・カツカはこの後、同じメトロで大作戦争アクション『戦略大作戦』を手掛けてます。 キャロル・オコナー氏はそっちにも出てる。 マーロウ物映画としても、それ程支持率の高い作品でも無く、原作ファンでもどれだけ知っているやら? こちらの作品も『ロング・グッドバイ』程では無いが、時代設定的には現代寄りになっていました。(当時の) 今となっては逆に、「ブルース・リーが出ていた」事である程度の知名度を保っているように感じる作品となってしまったかも知れません。 特に今作も、不運にも『2001年宇宙の旅』『いちご白書』『戦略大作戦』などと同様に、1973年頃に我が国のメトロ支社が閉鎖となった事でフィルムの供給が止まり、名画座等での上映が完全に途絶えた事で今作の上映期間も、ブルース・リーのブームと入れ替わりに終了となってしまっていた、という経緯もある作品でもありました。
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