「これこそドイツ表現主義そのものの映画」カリガリ博士 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
これこそドイツ表現主義そのものの映画
舞台セット、家具、背景など美術が独特でかつ歪んでいます
斜めであったり引き伸ばされたり様々です
キュビズムの絵画の中のような世界です
この中で物語が展開されます
入れ子式の複雑な構造の物語で最後の最後でそうだったのかと明かされます
筒の先から覗いているかのような視野狭窄のカメラが登場人物の対象だけを捉えます
まるで歌舞伎のような隈取りのあるメイクを施し、意識的なオーバーアクションがなされます
そして眠り男と夢遊病、精神病院とフロイトの精神分析的な世界の雰囲気を漂わせてています
内面的、感情的、精神的なものなど「目に見えない」主観的な世界を、映像で表現しようと様々な実験的な演出を試みています
その手段としてキュビズムとフロイトを援用しているのでしょう
つまり1920年当時の最先端の芸術と科学を融合して作り上げた映像作品なのだと思います
正にこれこそドイツ表現主義そのものの映画であると思いました
製作されてちょうど100年になろうとしていますが、これ程までに前衛的で野心的な映画は未だに作られていないのではと思います
21世紀の現代ではCGによってそれこそどんな映像でも作り出せるような技術があります
それでも、今もなお最先端の映像作品なのではないでしょうか?
これを超える前衛的な挑戦を現代の作品で観てみたいものです
コメントする