カラヴァッジオのレビュー・感想・評価
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ストーリー云々よりも、デレク・ジャーマンの感性と映像美を楽しむ作品...
ストーリー云々よりも、デレク・ジャーマンの感性と映像美を楽しむ作品。この時代にはない電卓やタイプライターなど小道具の演出も面白い。ウェス・アンダーソン監督作常連のティルダ・スウィントンの映画デビュー作でもあり、『ロード・オブ・ザ・リング』ボロミア役のショーン・ビーンや、『ハリー・ポッター』ハグリッド役のロビー・コルトレーン、『ボヘミアン・ラプソディ』監督(代行)のデクスター・フレッチャーの初々しい姿もみどころ。
この映画は『カラヴァッジョ』の映画ではない。 最後のクレジットを見...
この映画は『カラヴァッジョ』の映画ではない。
最後のクレジットを見れば分かる。また、同性愛者に対して『寛容さを示している/訳では無い。寧ろ『カニバリズム』まで含めたキリスト教のタブーに対するプロテストな話だ。
さて、それは兎も角、
音楽家、サイモン・ターナが映画に登場するようだが、水死する『子供が出来た』と言う女性だと思う。『フィリッポ・リッピ』とクレジットには出てくる。しかし、?。
つまり、非常に難解な上に、ファンタジーになっている。だから、この映画を見て、カラヴァッジョの❴性的趣向·まで歴史的に判断すべきではない。カラヴァッジョの絵画を知って、この映画を見た方なら、誰でも気付くと思うが、映画内で描かれる絵画はカラヴァッジョの絵画には程遠く、カラヴァッジョの絵には見えない。その点がこの映画の主旨と見れば、評価したいのだが、その前にこの映画は難解過ぎる。
しかし『なんとか賞』が取れる様な作品にはどうしても思えない。
一つだけ気付いた事は、この映画に出てくる元の絵は、数年前のカラヴァッジョ展(東京では西洋美術館)に出ていた絵画が多いと思った。
私自身は、その絵画展は鑑賞したが、何一つ偏見を持たないで、何故男ばかり描くのだと感じた事は確かだが、しかし、それで『即』同性愛者と判断すべきではないとも思った。同性愛者だから、名画を描いたと判断するのは逆差別だと感じるが。
西洋美術が好き、LGBTに関心があるというなら観ておくべき映画だと思います そうでなければあまりお勧めはできません
主人公の名前が本作のタイトルです
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ
1573年生まれのイタリアの画家
西洋美術好きなら誰でも知る高名な画家です
ルネサンスの後に頭角を現して、バロック絵画の草分けとされます
その絵はドラマチックでファンは多く、自分もその一人です
その一応伝記と言うべき映画です
西洋美術好きなら彼の生涯のあらましは頭にはいっていて本作を観ているでしょうから、時系列があちこちに飛ぶような破天荒な演出でも、いまはこのエピソードをやっているのだなと分かるようにはできています
また彼の主要な絵画はだいたい頭にはいっていて、その絵をあらかた思い出せる
というか数年前に日本で開催されたカラバッジョ展にもいって本物を見てきて感銘を受けたというような方ならば、本作のおもしろみも理解されようかと思います
しかしカラバッジョの名前を知らない方、もちろんその生涯についても知らない、まして彼の絵画を一枚も観たことがないという方には辛い時間を過ごすことになる映画だと思います
映像はカラバッジョの絵画がまるでそのまま動きだしたかのように、役者、照明、彩度にこだわって撮影してあります
例えば彼の有名な作品「音楽家たち」を実際に俳優に絵画モデル役をさせてそれを再現してカラバッジョが描いているシーンがあります
れだけでなく、あちこちの映像で彼の作品の一部分を実物で絵画そっくりに再現しているシーンが多数あります
もともとカラバッジョはドラマ性を感じる主題、それを盛り上げる強烈な光線とコントラストで絵を描く画家で、映画的な絵画なのです
もし彼が現代に生まれていたなら、才能ある映画監督になっていたと思います
この遊びを、これはあれ、あれはこれとできるならば楽しみようもあるのですが正直つまらない
映画としてのカタルシスも、ドラマ性もないのです
そして、本作はこのカラバッジョの伝記というのは口実で、実はLGBTのことを主題した映画なのです
LGBT は人類の大昔から普通に有ることであって、400年昔も現代も変わりはしないと訴えているのです
物語はカラバッジョのことで当時を舞台にしているはずなのに、タイプライターや色とりどりの電球の光る居酒屋が登場したり、鉄道や自動車の音が聞こえてくるのはそれをいいたいための演出です
本作は1986年の公開
LGBT を取り上げた映画は当時まだ少なく、ましてLGBT とカトリック教会を絡めるというような本作は、きわどいというか大変な勇気が必要であったと思います
それがベルリン国際映画祭の銀熊賞(特別個人貢献賞)受賞の意味だと思います
本作は世界的映画賞を受賞しているにも関わらず、ソフト化もなく近年までとても鑑賞困難な作品でした
というのも、このようにかなりの癖のある映画だからでしょう
なので今回の上映は大変嬉しいことでした
西洋美術が好き、LGBTに関心があるというなら観ておくべき映画だと思います
そうでなければあまりお勧めはできません
カラバッジョの生涯について、普通に学びたい方は、2010年の「カラヴァッジョ 天才画家の光と影」をご覧になられた方がよいと思います
室内劇
人を殺したがゆえにイタリア中を逃げ回るカラヴァッジオを描いた映画かと思ったら違っていた。
死の床のカラヴァッジオの人生を時間軸を戻したり進めたりしながら観客に見せる。教会の庇護を受けてからはお金に困っていない人生だった。男性も女性も愛した。モデルをきちっと使い彼らが纏う布の質感も素晴らしく、写実的で光と影を効果的に使った作品であること、キリスト教のモチーフでありつつ異教的な雰囲気に満ちている作品であることを再認識できた。
いきなり現代風の服装の男達が現れたり、自動車(トラック?)が現れたり、今風のバスタブにタイプライターとか電卓が現れたりが不思議だったけれど面白かった。ティルダ・スゥイントンは娼婦マグダレーナのモデルにぴったりの美しさだった。野外も少し映るがほぼずっと室内で、海の近くであることは波の音だけでしかわからなかった。
引用だけであくびが出る!と若いカラヴァッジオに言わせながら、字幕で追う言葉や台詞は(多分)引用の山で詩的だった。イタリア語だったらよかったのにと思う一方で、このタイプの映画は英国でしか作れなかったろうとも思った。
画家カラバッジオの伝記的作品
事前に彼の絵画をざっとチェックしておくことをおすすめします。
ドラマチックな描写力をローマ教会に買われたカラバッジオ。彼の人柄もその絵に似て非常にドラマチックだった様子が、絵画のような映像で、有名絵画を織り交ぜながら描かれる。
ティルダ・スウィントンさんがコケティッシュだけど艶があり、美しかった。
"メドゥーサ"
中世ヨーロッパのような時代背景から、何か車が走る雑音や電卓にタイプライター、トラックまで出てくる!?
デレク・ジャーマンが描くゲイっぽさが映像全体に滲み出る雰囲気と、戸惑う時間軸や16世紀末から17世紀初頭の時代と"ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ"の創作という名の伝記映画に真実を探るのは野暮ったい。
重苦しい歴史を語る自伝的なイメージから、現代劇に近い演出が本作を観やすくさせているような「エドワードII」でも近い感覚が。
実際の事実と創作のズレがどのように評価されたのか気になるところ。
芸術家
ある芸術家の生涯。
主人公のモノローグは詩的な表現ばっかで ぶっちゃけわかりにくい…けどまあ、芸術家なんてこんなもんかな。
この映画には、彼の描いた絵画作品がたくさん出てくる。その作品にストーリーと人物を当てはめていくような、不思議な倒錯感がある。
絵画からまるで出てきたような登場人物達、特にティルダ・スウィントンの美しさに息を飲む。
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