「教養ものは苦手だけど頑張って観ました」カラーパープル(1985) はむちんさんの映画レビュー(感想・評価)
教養ものは苦手だけど頑張って観ました
現代とは程遠い時代設定の話なのでピンと来ない面はある。姉妹を嫁?養子?召使い?として頂戴したダニー・グローバー。嫁じゃない妹の方と強引に肉体関係をしようとして平和な日々が崩れる場面は、一気に「(姉妹が)可哀そう」と思うでしょう。
ただ映画そのものは、コミカルな場面も結構あり、辛い日々を軽減する狙いもあるのか音楽が「のどか」で、大自然の映像も良く、退屈さは少なく進んでいった。威張っていたダニー・グローバーから我慢して過ごすウーピー・ゴールドバークに少しずつ風向きが変わっていく。
世間を知る機会もなく、ひたすら尽くす、いや、尽くすしかない、そんな人生を送る姿に悲壮感が出ていた。
そして、気が強いポッチャリ奥さんと主人公がどう繋がりある関係なのか、わかりにくかったかな。D.グローバーの息子の嫁ってくらいしか認識できなかった。現代とはあまりに違う結婚への価値観を描きたかったのかもしれない。姉妹はどのような経緯で生まれたのか・・・孤児や黒人格差に比重を置いてるようにも思える。
D.グローバーは、妹から何度も届いた手紙を見せず、隠していたのは何故か?
1.妹と関係を持てなかった悔しさのようなものか
2.「いつか渡そう」と思っていた
→捨てたり燃やしたり、酷いこと言えば勝手に読んだりできる威張り様だったけど、少しは情があったと思いたいですね。
無冠に終わったとはいえ、アカデミー10部門ノミネートされただけのことはある。手紙をみつけた辺りから、何か教育番組を観てるような感覚に思えてきたので、私的には退屈な時間も多かった。どうもアカデミー系の作品は「教養」の比重が多くて苦手。観てる側は「勉強的な映画」を受け入れられるかどうかですね。また、人間関係がわかりずらい感もあり、しっかりと真面目に観る必要がある。
映像的にはさすがスピルバーグ。間の取り方や、対象物をアップに撮ったり、優しく刺激的に場面転換する術を味わえるので、退屈になると映像が観る気力を繋げてくれた。
妹まで手を出さず、そのまま3人で暮らしていればD.グローバーは善人と言えたでしょうが、欲は本能。頭で考えるより本能で行動していた時代かもしれません。現代も形は違えど、金などの力で叶えようとする部分は変わらない気はする。
威張れた相手がいなくなり次第に寂しくなるD.グローバー。ラスト、妹に会わせる段取りをしたのは彼だろうから反省の行動でしょう。馬と一緒に遠くから姉妹の再会を眺めてる時、友人女性シンガーは気付いているように見える。果たして和解したのだろうか?見届け、そのまま去っていったのだろうか?
「E.T.」は月をバックにした映像がトレードマークになってるけど、この映画では太陽をバックに姉妹が手を合わせている映像で終わらす点もニクイ演出ですね!