森の男（1933）

解説

「白馬王国」「砂漠の遺産」と同じくゼーン・グレイ原作、ヘンリイ・ハサウェイ監督、ランドルフ・スコット主演になる西部劇で、脚色には上記2映画のハロルド・シューメイトと「幽霊牧場(1933)」「荒原の覇者」のジャック・カニンガムとが共同して当たり、撮影はベン・Ｆ・レイノルズが担任している。助演者は「競馬天国」「幽霊牧場(1933)」のヴァーナ・ヒリー、「カンターの闘牛師」「アリゾナ・ギャング」のノア・ビアリー、「密林の王者」のバスター・クラブ、「聖ジョンソン」のハリー・ケイリー、「砂漠の遺産」のグィン・ウィリアムス及びヴィンス・バーネットの面々である。

1933年製作／アメリカ
原題または英題：Man of the Forest

ストーリー

クリント・ビーズリイという男がジム・ゲイナーの牧場を強奪しようとしていた。ゲイナーは正式に登記すれば、奸智に長けたビーズリイといえども手の下しようがないのだが、無実の罪で前科者になっているので土地登記の権利がない。やむなく彼は姪のアリスを呼び寄せ、彼女の名によって登記することにした。ところがゲイナーの牧場にビーズリイのスパイがいて、この計画をビーズリイの耳に入れた。彼は目的を貫徹するためにアリス誘拐を企てたが「森の男」という不可解な人物が現れて、横からアリスを誘拐してしまう。この男はブレット・デールとて、ゲイナーの親友でゲイナーとアリスのために彼女を誘拐したのである。ゲイナーはそれを知ってデールの家に向かったが、ビーズリイは途中に待ち受けて、遂に彼を殺害する。町のシェリフ・ブレイクはビーズリイと腹を合わせ、ゲイナー殺害の犯人としてデールを捕縛する。ビーズリイはアリスを自分の情婦ミセス・フォーニイの家に留め置いて、着々牧場強奪の計画を進める。いよいよビーズリイの名で牧場を登記しようという日の前夜、ブレットが可愛がっていたマウンテン・ライオンのマイクがシェリフのブレイクを襲って主人のブレットを脱獄させる。一方ゲイナーの牧場ではブレットに味方する者がブレットを救おうと大挙して町を襲う。彼等は脱獄したブレットと途中で相会し、アリスを救い出して、とある倉庫に立て籠もる。ビーズリイは倉庫を遠巻きにして焼き討ちを企てるが、正義の前に悪が栄えるはずはなく、アリスに愛を奪われて心狂ったミセス・フォーニイのピストルに最後をとげる。小鳥鳴く牧場にブレットとアリスが新しい主人として迎えられたのは、その後間もなくであった。