「フェリーニ監督は薄幸の女性を描くのがうまい」カビリアの夜 ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
フェリーニ監督は薄幸の女性を描くのがうまい
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天真爛漫な性格の娼婦を、「道」のジュリエッタ・マシーナが演じているが、性格の異なる役柄を上手くこなしている。
騙されても騙されても信用してしまう主人公、最後も結局は騙されてしまうのは観ているほとんどの人は想像できたと思う。フェリーニ監督のすごいところはその後である。若者たちの集団に出会ったことと、それを見た主人公は騙されても明るく?楽しく生きていこうという決意のやや微笑みかけた表情のアップである。人生、嫌なことがあっても、楽しいこともあるさ・・・とでも言っているような表情だ。
あと気になったのが、途中のエピソード・・・有名俳優の豪邸に招かれたり、慈善活動家や托鉢をしている神父との出会いがあったが、その後にまた登場するのではないかと思ったが、結局それっきりだった。特にそのエピソードがなくても話の流れには直接関係はなかった。何の意味があったのだろうか?人と人との出会いは一期一会ということか。人にはそれぞれの生き方があるということだろうか。
あと興味深かったのは、主人公の家がまだ未舗装道路が多い開発途中の広々としたところにポツンと立っていて、この映画が作成された1957年当時の都市郊外の様子がよくわかる。多分、日本も同じような状況だったのだろう。そういう視点で観ても面白かった。
ただ、名作ではあるが、「道」のような感情を大きく揺さぶられるような感動とまではいかなかった。
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