「「ドリーム」と共に、黒人の方々の苦難の時代に更なる想いを寄せ…」悲しみは空の彼方に KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
「ドリーム」と共に、黒人の方々の苦難の時代に更なる想いを寄せ…
ダグラス・サーク監督や
ラナ・ターナーのことは全く知らなく、
これまで彼らの映画を観る機会は
無かったが、これがサーク監督の
最後で最高評価の作品と知った。
白人母娘と結果的にその家の家政婦になった
黒人母娘の、
仕事上の栄達と差別環境の中で、
それぞれの人生がどうリンクしていくのか
と興味深く観ることか出来た。
この作品、色々と不満はある。
そもそもが二家族は一緒に生活している
のだが、お互いの問題が
相手方の人生に直接関与する構成ではなく、
それぞれが分離している感じを受ける。
また、白人家庭の母は、異性への想いよりは
圧倒的に女優としての栄達を重んじる人物
として描かれるが、
その彼女を慕う写真家を目指す男性が
何故10年を超える想いを維持し続けたのか
との描写が不足していると感じる。
それでも、黒人家庭の母の臨終の間際での、
娘や触れ合った人々に対する想い
の独白のシーンや、
楽屋にやってきた母と別れる時に
言葉にはならないが口の動きだけの
娘の「ママ」には涙を誘われ、
栄達を目指す中で存在する理不尽さと共に、
アメリカ社会問題への告発性は明解だ。
この数日前に「ドリーム」を観たばかり
ということもあり、
いまでも解決が付いていないのに、
より厳しい時代の黒人の皆さんの
更なる苦難を認識させられる。
ダグラス・サーク監督の残りの作品の中では
第二次大戦末期のドイツ軍兵士の悲劇が
描かれているという「愛する時と死する時」を
観てみたいと思った。
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こころさんのコメント
2022年3月31日
KENZO一級建築士事務所さん
コメントへの返信を有難うございます。
本作は「模倣の人生」(1934年)のリメイク版なのですね。哲学的な題名ですね 🤔 確かに…気になります。