「日本の殺陣の迫力を再認識」カットスロート・アイランド よしさんの映画レビュー(感想・評価)
日本の殺陣の迫力を再認識
海賊王だった祖父の財宝を追う孫娘の冒険を描く物語。
あまり好きなジャンルの映画ではありませんが、「ダイ・ハード2」「クリフハンガー」のレニー・ハーリン監督作品ということもあり鑑賞。結果大失敗でした。
そもそも基本設定で???がつきます。祖父は、その莫大な財宝をなぜ隠したのでしょう??そんな財宝があれば、この映画のラストがそうであったように、海賊を引退して悠々自適の生活も出来るでしょう。贅沢三昧の暮らしをして散財することもあるでしょう。折角集めた財宝を隠す理由が分かりません。官憲に追われて仕方なく・・・なら、息子が海賊を引き継いでいることと上手く繋がりません。
軍隊の係りも上手く整理出来ていません。一言で言ってしまえば「蛇足」でしかありません。これが、ラスボスであるドーグを追い詰めたところで・・・実は軍隊もグルで形勢逆転・・・とかなら、どんでん返しにもなるのでしょう。しかし、圧倒的優勢のドーグに軍隊がくっついたからと言って、物語が動くわけではありません。
アクション全体も大掛かりではありますが、???が多く興ざめせざるを得ません。
例えば、海賊船同士の砲撃戦。あれだけの近距離で撃ち合えば、両船とも沈没することは自明。なのに、沈没をせずに、なぜか白兵戦が始まります。
主人公側の海賊人数も不明確です。多くの部下に裏切られ、少人数が海に放り投げられたはずなのに、いつの間にか大人数に復活。敵役の海賊と互角に見える人数になってしまっています。これもご都合主義に感じられ、興ざめ。
そもそも、洋刀を使った殺陣に迫力と凄みとリアルを感じません。特に大人数の殺陣になった際の軽さは観ていられません。これは文化(?)の違いなのかもしれませんが、千葉真一や真田広之の殺陣をみて育った私からすれば、面白みを感じようがありません。
殺陣を除けば、幾らでも帳尻を合わせようがあったと思うので、とても勿体なく感じた作品でした。
当然、私的評価は極めて厳しくなりました。