「人権なんて、掲げられた大きな正義の前では、有って無いものだ」カッコーの巣の上で すこぶるさんの映画レビュー(感想・評価)
人権なんて、掲げられた大きな正義の前では、有って無いものだ
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この作品の根本にあるのは、
「命ある全ての人の人権」だと感じた。
刑務所の強制労働から逃れる為、猫を被り、精神病棟へ移ってきたモクスリー。なんの罪を犯したのか、はたまた何かの精神病なのかは、作中では明らかにならない。主役の彼から伝わるのは、教師に反抗するヤンチャ学生のような、ずる賢く、ただ仲間想いで、人間味溢れる、憎めない人キャラクターだ。私もその一挙手一投足に見入ることになった。
前情報なく観ていた私は、「あぁ…これは心温まる、厚生ハッピーストーリーなのかー」なんて思ってた。
この映画はラストスパートの衝撃が強すぎる…
映画ってすごいよな…伝え手の妙により、こんなにも衝撃が、見ている人の脳への、考え方への、固定概念への衝撃が強い…
日頃、私たちが精神病患者に抱いている嫌悪感…それは精神病院目線であり、
1人の人として分け隔てなく接する、本当の平等な人権は…モクスリー目線にあると思う。
婦長の大変さに同情する場面もあり、
モクスリーの疑念の表情に共感する場面もあった。
十人十色、全てを受け入れるのは簡単では無い、
それでも皆、命ある人なんだ。だから大変で難しい。
ロボトミー手術が盛んに行われていた時代があったこと…
それを現代ならばおかしいと皆が言えること…
提唱することで、人類全体が、愛する人の一人一人が幸せになれるよう
この作品の根本にあるのは、
命ある全ての人の人権についてだと感じた。
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