劇場公開日 1998年5月2日

「観てからガタガタ言おう」ガタカ いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5観てからガタガタ言おう

2017年7月22日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

説教臭さは鼻につくのだが(苦笑)、ただ、映像自体は大変クオリティが高い作品。一連のコロンビアピクチャー→ソニーピクチャー配給の、あの乾いたレトロフューチャー感のある現代アート的世界観はここで爆発していたように思われる。
ストーリー内容は、もう有名なSFサスペンスなので割愛するが、優生思想が根幹になってしまった未来というシチューションは、多分、だれもが描くディストピアだろうし、そうしてそのディストピアを望んでいなくても無意識に心を掴まれ続け離して貰えない悪魔の思惑なのだから、それが現実と成る世界は確実に訪れる筈だ。望まないモノに成る。。。戦争然り、自然災害然り、こうして人間の負の思想、マイナス思考が科学万能の未来を構築していく原動力となる。
そんな世界の中でも、抗う者達、そしてその抗いに感動し、賛同し、協力していく人達。ピュアなままに、夢に向かって突き進む人に、そのファンは自分たちの人生を乗せたくなる。。。ん?これって、某国会議員上西女史の話とリンクするような・・・具体的な手助けがあるのかどうかわからんが、やはりファンは多い方がいいだろうね(苦笑)
ストーリー展開は、そういう自分の頑張りに共鳴した周りの人達に助けられて、夢を実現するという話なのだが、やはりこの作品のキモは、いわゆる『スペースオペラ』的な雄大な時間が流れるSF大作とは逆ベクトルのミニマム的、しかし充分現実性の高いストーリーを宇宙ではなく室内での設定で展開していくことが確立された作品なのだろうと思う。それには前述にあるとおり、かなり高度な美術的要素も必須である。レトロでもポストでも、とにかく観客がそれをスタイリッシュと思える、そういう作品の代表なのである。

いぱねま