「比類無きスケール、情熱の超大作」風と共に去りぬ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
比類無きスケール、情熱の超大作
第12回アカデミー賞作品賞受賞作。
Blu-rayで2回目の鑑賞(吹替)。
原作は未読。
南北戦争前後の混乱期、数多の試練を乗り越えて力強く逞しく生き抜き、情熱的な恋に身を焦がし続けた女性、スカーレット・オハラの生き様を描いた問答無用の超大作である。
本作を超える映画は今後登場しないのだろうと思う。何故なら、キャスティング、美術、演出、映像美、スケール感―あらゆる全てが比類無き完成度を誇っていて、他の追随を許さないからだ。公開から80年以上経過しているのに、その魅力が色褪せていないと云うのが最早すごいではないか。
太平洋戦争中、マニラで本作を極秘に鑑賞した小津安二郎監督が、「こんなにすごい映画をつくる国と戦争して勝てるはずがない」と感じたと云う逸話も納得出来ると云うものだ。
ヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブル、主役がこのふたりだからこそ成立する作品だとも思う。容易にリメイクされないのは、両者に匹敵する俳優がいないからなのは間違い無い。
情熱的なキスシーンも忘れられない。一瞬でスカーレットを虜にしたキスとはどのようなものだろう。「こんなキスをしてくれた男が今までいたか?」。一度で良いから言ってみたい。
当時黎明期だったテクニカラー・フィルムの色彩は現在と比べると鮮明ではないにしても、良い味わいを醸し出しているように感じた。実験的描写も多く、影絵のような表現が美しい。
スカーレットが決意を叫ぶ場面では、その影絵的な画づくりが彼女の心情とマッチしていたし、スペクタクルシーンでは黒と炎の赤のコントラストが誠に鮮やかで、迫力を醸し出す。
スカーレットは美しいが高飛車であり、個人的にはお近づきになりたくない女だ。だがどんな困難が降り掛かろうとも、果敢に乗り越えようとする強さを持っているところは素敵だ。
それがどんなに周囲の反発を生む方法であったとしても、一切狼狽えることなく信念を貫徹する姿には、女性の持つ真の強さがあり、現代社会へ充分訴えるものがあるように感じた。
[余談1]
クラーク・ゲーブルは総入れ歯だったそうな。当時の技術では上質な入れ歯をつくるのが難しかったらしく、どれだけ手入れをしても菌が繁殖し、毎日口臭が酷かったと云う。
キスシーンの撮影時、ヴィヴィアン・リーは彼に徹底した口内ケアを条件として提示したそうで、このエピソードを知った後で観るとどうしてもそのことが頭を過ぎって困った。
[余談2]
記念すべきレビュー1000本目である。このアプリに登録して2年と少し。ようやくここまで辿り着いた。節目に相応しい作品は何かと考え、映画史に燦然と輝く本作を選んだ。
※修正(2025/07/16)
スカーレットを虜ににするキスの話をした後「実は総入れ歯で口臭が」という落差がもの凄いです!わたしも「総入れ歯で口臭」がもう頭から離れません。。。(笑
共感します。
他にも素晴らしい大作は多々ありますが、本作品の持つオーラは別格のものだと思っています。ビビアン・リーとクラーク・ゲーブルのあの匂い立つような色気(歯ではなく)、本当に素敵ですね。
凄い名言、問答無用の大作❣️
リメイクの発想は、しゅうへいさんの受け売りです。
フォローしていただきまして
ありがとうございました😊
今後ともよろしくお願いいたします🤲
スクリーンで観たいですね。
午前十時の映画祭企画来年、希望❣️
りかさん
コメントありがとうございます。
問答無用の大作であり名作です。
4時間近い上映時間ですが、長さが全く気になりませんでした。
一度はスクリーンで観たいです。
仰る通り、リメイクがつくられない理由のひとつはそう云うところにあるのかもしれませんね。
恐れ入りました。
大、大、記念の作品なのですね。
何回か観てます。少女雑誌で漫画にもなっていました。
タラの土を掴んでまた復活しようとするスカーレット。レッド•バトラーにも愛想尽かされ、しかし、守らねなならない決意。
南部で黒人奴隷を使っていましたが、スカーレットは、その者たちの事も念頭に置いている。時代が時代でしたから仕方ありませんが、わがままですが、
しゅうへいさん
共感をありがとうございます。
スケールの大きさ
大作ですよね(^^)
ヴィヴィアン・リーとクラーク・ゲーブルの
熱い演技が印象的です。
強い女性スカーレットを演じたり
「哀愁」のような薄幸ヒロインを
演じたりと ヴィヴィアン・リーも
美しさだけでなく演技力もあった女優さん
そう、思いました。
映画音楽もGoodでした。
kazzさんへ。
ありがとうございます! これからもよろしくお願い致します(^-^)
奇跡のような映画を今日も手軽に楽しめるということも、もはや奇跡のように思えて来ました。今度はスクリーンで観てみたいです。
2年あまりで1000本達成とは、素晴らしい!
そのメモリアルにふさわしい傑作を選ばれましたね。
私が若い頃は、世界のどこかで必ず上映されている映画だと言われていました。
製作秘話を聞くと、これは制作者セルズニックが産んだ正に奇跡の一作だと言えます。
近大さんへ。
ありがとうございます! ようやくここまで来れました。これからもよろしくお願い致します(^-^)v
本作って、長尺にも関わらず、あっと言う間に時間が過ぎていってしまうんですよねぇ…。それは「七人の侍」も同じで、これこそ名作の証じゃないかなと改めて思いました!
レビュー1000本おめでとうございます♪(^^)
1000本に名作中の名作を選ばれましたね。
こちら、現在の金額に換算すると、『SW/フォースの覚醒』や『アバター』を抜いて、アメリカ映画最大のヒットらしいです。
それも頷けるドラマチックさ、スケール、何もかもアメリカの国民的なクラシック名画なんでしょうね。日本で言えば『七人の侍』のような。
こちらも久々に見返したいです。
ちなみに、私のレビュー1000本作は何故か『ワールズ・エンド』でした(^^;