「驕慢な美女の「アイルランド魂」」風と共に去りぬ jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
驕慢な美女の「アイルランド魂」
私はいつも ヴィヴィアン・リーの御尊顔を拝して、感心してしまう
そして あんな美貌であれば、それを振り回し 驕慢に生きて見たい… とも思うのだ
どんなものか 知りたい(笑)
やっぱり、罰が当たるだろうか
主役四人が、きれいにキャラが分かれているので
わかりやすい映画でもある
歌舞伎とか 年末の忠臣蔵みたい
ドラマチックで 貧乏臭くなく、豪華である
(昔は 年末にTV放映されていた)
スカーレットが、戦前は単なる我儘娘くらいだったのが、戦時に ど根性で困難を乗り越えると共に、 段々 鼻持ちならない女になっていき、戦後はバトラーと結婚し、成金女になってしまうのが 面白くもある
(猛烈に頑張った企業の開祖などが 親戚中から 嫌われるのに似ている… 戦中 オハラ家、ウィルクス家を支え 終戦後には、帰還兵に飯も食わせたのだが!)
成金になった時の 屋敷やドレスが 悪趣味なのも、品がなくなったことを示していて
彼女が愛するアシュレーの神経には 障るだろうな、と考えたりする
彼女のサバイバル力は 鈍感力と結びつき、最後には 広い屋敷で 独りぼっちになってしまう
戦争で 南部文化は跡形もなく、消えてしまった…
自覚してないが、彼女の中からも…
(アシュレーの日々への悲嘆と、バトラーの彼女への嫌悪がよくわかる)
司馬遼太郎が 「アイルランド紀行」の中で、
アイルランド人を評して「百戦百敗の民だが 不滅
(アイルランド魂)」と書いていて、「風と共に去りぬ」にも触れている
赤土を握りしめて 立ち上がるアイルランド系の
スカーレットに それを見るのであると
(原作を読むと理解、アイルランド紀行も とても良い)
私も「百戦百敗の民」の魂に、妙に感動してしまう
そして 鈍感力だけではなかったことも知る
司馬は この魂は「人類の財産」だと 説いている
バトラー氏が 惚れたのは、ここかな
賢明なメラニーが 見抜き、共に辛酸をなめる友としたのも ここだろう
評価の分かれる美女(笑)の ルーツでもある
自然災害で被害が甚大であった年などに TVで繰り返し放映されるのも、納得です!