劇場公開日 2024年8月2日

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「正しい情報があれば…正しく恐れられていたら…」風が吹くとき ごはんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0正しい情報があれば…正しく恐れられていたら…

2024年8月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

イギリスで作成された1986年の作品。

お盆の帰省中だけど実家を抜け出し鑑賞。
8月15日と言う日にこの作品を見たのはホントたまたまだけど、今日見るには相応しいとも言える作品でした。

「愚かな夫婦…?」
現代で特に戦争被爆国の日本で生まれて教育を受けてきた人が見たらこの夫婦はなんて哀れなんだ、愚かだと映るのではないだろうか?
だけど知識のない中だったらきっと作中の夫のように政府という信頼の出来そうなところからの情報源を鵜呑みにするしかないのは今でも変わらない気がする。
現代ではいろんなところからの情報が飛び交うけど、どれが正しいか判断が出来なくなったら自分も「政府が言ってるから…」という事で政府の言う通りにするだろう…
妻の危機感の無さも同様に知識がないからこその呑気な考えだろう(人によっては知識が無いからこそめちゃくちゃ怖がりそうだけど)
これを見てこの夫婦の行動に違和感や愚かさを感じられるのはある意味多少なりとも正しい知識を身につけていられているのかなとも思う。
この作品をみて「政府の言う事聞いていたのになぜ夫婦は救われないのか?」
なんなら「夫婦は最後どうなったのか?」と思ってしまう状態の方がまずいだろう。

「政府からの情報」
作中で政府から発せられている情報は多少正しい部分もあるけど、それじゃとてもじゃないが身を守るなんて…という感じだった。
時代的に政府などの放射能などへの科学的な知識不足もありそうだけど、政府としても国民に発信できる各個人で出来そうなレベルの事というとあんな感じの事を言うしかなかったのかなと…

「未知の脅威への向き合い方」
コロナによる緊急事態を経て、戦争とは訳が違うにしても、未知の脅威だとしても正しく恐れ、行動することが大事だと身をもって学んだ現代。
あのときも散々いろいろな情報が飛び交ったりした事を思い出した。
日本は自然災害も多い国でもある、戦争に限らず正しく恐れて対策していきたいものですね。

優しい雰囲気のアニメーションに対して徐々に不穏になり続ける感じ、もうどうにもならないとわかるぶん、後半ほど見ていて苦しい気持ちもある作品でした。

アニメーションとしては実写の風景やジオラマの部屋を撮影して2Dアニメーションを重ねた映像で魅力的な映像でした。

優しい雰囲気で描かれるからこそ恐ろしさなど伝わってくるものが多かった気がした作品でした。

ごはん
humさんのコメント
2024年8月21日

ほのぼのとした絵柄とは裏腹の重みある作品でした。正しく恐れ、行動する…にとても共感します。

hum