「アニメじゃない」風が吹くとき 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)
アニメじゃない
1986年製作の英国アニメーション映画
日本では1987年初公開
高校生の頃テレビかなにかで観たような気がする
いずれにせよ映画館ではなくテレビで観た
鑑賞はそれ以来となる
8月2日から各地でリバイバル上映される
地元ではフォーラム仙台だ
自宅から100キロ以上離れているが北海道民感覚ならわりと近所のうちに入るだろう
それまで待てずにU-NEXTで鑑賞した
オリジナル字幕版で
舞台はイギリスの片田舎
主な登場人物はジムとヒルダの老夫婦
若い頃に2人は二つの大戦を生き延びた
ロンという息子がいて独立し離れて暮らし妻子がいた
ロシアとの核戦争が始まると聞き政府発行のパンフレットを参考に備えるジムとブツブツ言いながらも協力するヒルダ
アニメーション作品のわりに実写シーンが多い
いきなり冒頭実写だし背景や静物が実写だったりする時もある
実写混じりのアニメーション
日系監督ムラカミ氏はリアルを追求したかったんだろうがそれならアニメじゃなくても良いんじゃないか
キャラクタービジネスを狙ったのかもしれない
ジムがバスに乗っているシーンでのBGMはいらない
おそらくデビッド・ボウイだろう
彼のような偉人に大変失礼な話だがはっきりいってうざかった
核シェルターがあまりにもお粗末だ
ドアを斜めに壁に付けてその中に老夫婦が避難するという馬鹿げた代物
布団用のクッションと食料と水を入れて
こまわりくんがモモちゃんの自宅の軒下に隠れ家を勝手に作っていたがそれとはまるで違う
パンフレット通りに48時間後に外に出てみると辺りは変わり果てた残状で人影は見当たらなかった
鳩は飛び立てず死にかけていた
水道も電気も止まり電話は繋がらなかった
牛乳も新聞も届かない
核兵器使用をちらつかせる独裁者は他国に確かに存在するが核戦争なんてまず起きないだろう
でも冷戦の頃はメディアなどがこぞって恐怖を煽った
ノストラダムスも手伝い終末思想が流行した
僕は子供の頃から既に他人と価値観をなかなか共有できずどこかしら楽観的でそういう世相を見下していた
放射能の影響で衰弱していく老夫婦の姿がこの作品の1番の見どころだろう
アニメ嫌いでも日本人なら必ず観るべし