劇場公開日 2021年5月7日

「題名でバーティ・ヒギンズを思い出します」カサブランカ naokiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0題名でバーティ・ヒギンズを思い出します

2025年4月10日
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鑑賞方法:映画館

興奮

幸せ

この映画はあまりに有名すぎるはずなのに近年、映画館で上映される機会はあまりないような気がします。「風と共に去りぬ」や「ローマの休日」は、しつこいぐらいリバイバル上映されてるのに平成になってから、この映画は午前十時の映画祭以外でかかっているのを見た事がありません。
ミニシアター系はヨーロッパの巨匠(ヴィスコンティ、ゴダール)やヌーベルバーグが推す巨匠(ホークス、ヒッチコック)などの意識高い系などがメイン(←そんな事はないですよ💦)で今さら「カサブランカ」でもないか・・・
今では本屋さんレジ横に置かれている懐かしDVDで見かける程度(これ安すぎるけど版権どうなってるの!?)

私の中で、この映画はキザな映画(名セリフ:君の瞳に乾杯)、よくパロディにされる(ウッディ・アレン「ボギー俺も男だ」←この映画も上映して欲しいなぁ)、昔観たNHK教育で放映されていたのがショボかった(←ふっ、ガキが何分かるんだよ!)

まぁ「カサブランカ」て、ようするに懐メロでしょ?あの頃は良かったわ。
じゃ、お前、映画館で最初から最後まで観たのか?そっから評価しろや!
・・・という事で観にいきました。

観に行く前に気がついた事なんですけど、これ戦中に作られた映画なんですね。日本公開は戦後だったので勘違いしておりました。作られた当時、フランスはドイツに占領されておりましたのでフランスの植民地であったモロッコ(カサブランカのある国)もドイツの支配下に置かれてるという事ですね。まぁ、ある意味、国策映画でドイツを倒せ!というスローガンで作られた映画でもあります。イルザ(イングリッド・バーグマン)も突然リック(ハンフリー・ボガート)から姿消して勝手な奴だよ!と物語的に破綻しているのに、
なんやかんや上手くいってしまう・・・(←まっ、いいか😅)
それを補うように白黒画面の階調が美しい。うーむ、アカデミー撮影賞はノミネートされたのに受賞されずにか。モロッコはダークトーンでパリ占領前の幸福時代は明るいトーン、終盤の空港シーンの、どう転ぶかモヤモヤした状態は霧で表現して緻密に場面展開されております。有名なプロペラが回るシーンは映画館の音響で迫力があります。

ドイツ軍の程よい悪役感はジョン・スタージェス「大脱走」に引き継がれてるのかな。ドイツのシュトラッサー少佐が唄うドイツ国家(かな?)に対抗してラズロらが楽団にラ・マルセイーズを演奏してくれと頼み、その後の大合唱はロバート・ワイズ「サウンド・オブ・ミュージック」のエーデルワイスにも共通する場面ですね。

とりあえず映画館で観れてよかった作品ですし、とても優しい映画でした。登場人物に無駄な人もいないし脇役の持ち味がそれぞれ生かされてました。ペーター・ローレーが出ていたのは意外でした。

naoki
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