「ミア・ファローのラストシーンの表情が、本作のテーマであり結論です 素晴らしい見事な表情でした これほどの美しい表情は観たことありません」カイロの紫のバラ あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
ミア・ファローのラストシーンの表情が、本作のテーマであり結論です 素晴らしい見事な表情でした これほどの美しい表情は観たことありません
セシリアは私達です
こんな会話がトムとあります
皆、年とって体こわして、恋をする余裕ないの
僕たちの世界では皆、張り切ってるけどな
こっちは弱い人間ばかり
君も架空の人物なんかにかまってたら損するよ
実在でなけりゃ意味はないさ
でも映画を観てしまう
だってどうにもならない現実
映画みたいに上手く行かないんだもの
そう映画は逃避、代償行為
そんなことわかってる
でも現実だって記憶は映画みたいなものです
都合よく編集してつまらないシーンはどんどんカット
映画のような大恋愛に仕立てて繰り返しロングラン上映
ヒロインはCG 顔負けで修正して超美人
だから元ネタが要るんです
沢山映画観て引き出し増やさないと
記憶の作品がつまらなくなる
記憶の次回作の用意も必要です
こんなロケ地いいな
こんな台詞いいな
こんな脚本で、こんな演出で
妄想を膨らませるにはいい映画を沢山観てないと
ミア・ファロー 40歳
ロースマリーの赤ちゃんは23歳、ジョンとメリーは24歳、フォロー・ミーは27歳、華麗なるギャツビーは29歳
どの役も素敵な新婚さんか、結婚したい対象でした
34歳のナイル殺人事件では、まだまだ若いけど微妙な感じになった女性を見事に表現していました
その彼女も40歳の中年女になってしまいました
40にもなると誰でもオバサン体型になってしまうものです
たまにガリガリになって干からびてしまう女性もいます
ミア・ファローは後者ぽいですがそれは昔からのこと
胸はペッタンコ、尻に肉は無くて、腰も張ってないし、口悪く言えば鶏ガラぽい身体つき
それにお肌はカサカサしてそう
でもでも干からびてなんかしてはいません
痩せていても柔らかい曲線があるんです
かわいいのは40歳になっても変わらず
まるで少女のまま40歳になったかのよう
性を過剰に主張しない女性
でも中性的でも、男性的である訳でなく女性の優しさ愛らしさを人一倍持っている女性
一言で言えばキュート
それが少女の面影をいつまでも残している女性です
だから、トムが隠れるのは休業中の遊園地です
トムは彼女の満たされない心の産み出した妄想
休業中の遊園地とは楽しかった少女時代の記憶
つまり少女が反芻する記憶と妄想の世界
トムの実存はギル
映画の中ではなくて現実の世界
そうなるとやっぱり現実の恋なんて上手くいかない
そんなことわかってる
ミア・ファローでなければ、他の女優には絶対表現できっこありません
私達は少女の心を抱きしめてあげるしかないのです
傷つきまくった古い革のバッグみたいにクタクタにくたびれはてた心
中にはガラクタしか詰まってない心
それは私達の心です
映画が逃避でも代償行為でも何が悪い
恋人がいなくても、ポケットにお金が無くても、心が豊かになるのは確かなのだから
ミア・ファローのラストシーンの表情が、本作のテーマであり結論です
素晴らしい見事な表情の演技でした
これほどの美しい表情は観たことありません
撮影が何気に素晴らしい仕事をしています
特に劇中の「カイロの紫のバラ」の白黒部分はセット、書き割りの窓の外の夜景、照明、レンズやフィルムの感度の味まで再現していました
カラーをそのまま白黒に変換したところで、平べったい映像にしかなりません
昔の様な白黒映画の撮り方のノウハウがなければこのような絵にはならないと思います
そしてそこに登場する役者達のメイクやかつら、仕草言葉遣いまでもが、見事な再現具合なのです
簡単にできる?そんなものではありません
白黒映画を沢山観て愛している各部門のスタッフが総掛かりでやったとしても無理
往年のメイクさん、ヘアメイクさんとか、もうとっくに引退しているベテランの人たちを連れて来ないとこんな再現はできないはずです
あき240さんへ
私もミア・ファローのラストシーンを現実逃避的なネガティブに捉えてしまった人間ですが、あき240さんのようにポジティブに理解出来るように成りたいものです。また他の作品での投稿に出逢えることを楽しみにしております。