女と女と井戸の中

劇場公開日:

解説

荒涼としたオーストラリアの田舎を舞台に、女性二人の愛憎、葛藤を、寓話的に描いた一編。監督はこれが長編第1作となる女性、サマンサ・ラング。製作はサンドラ・レヴィ。脚本は「ある貴婦人の肖像」のローラ・ジョーンズ。原作はエリザベス・ジョリー。撮影は「ラブ・セレナーデ」のマンディ・ウォーカー。音楽はスティーヴン・レイ。美術は『ボツパ』(V)のマイケル・フィリップス。編集は「エンジェル・ベイビー」のダニー・クーパー。衣裳は「ラブ・セレナーデ」のアナ・ボーゲージ。出演は「ハーモニー」のパメラ・レイブ、「ラブ・セレナーデ」のミランダ・オットー、「ハーモニー」のポール・チャブほか。オーストラリア・アカデミー賞主演女優賞、脚色賞、美術賞を受賞。

1997年製作/102分/オーストラリア
原題または英題:The Well
配給:アスミック配給(アスミック・エース エンタテインメント提供)
劇場公開日:1999年2月13日

ストーリー

長い間父親と二人暮らしの中年女性、ヘスター(パメラ・レイブ)の元に、家政婦として若い娘キャスリン(ミランダ・オットー)がやってきた。はじめはぎこちない関係の二人だったが、やがて親密な感情が生まれる。ヘスターの父親が死に彼女が遺産を相続すると、二人は思うままの贅沢な生活を送るようになる。遺産が底をつくと農場を売り、農場の外れにある小屋に移り住んで、夢のような田園暮らしを続けていた。ところがある夜、酔っ払って車を運転していたキャスリンが、人通りのない道で男を轢いてしまってから、二人の関係は狂いはじめる。おびえるキャスリンに代わってヘスターは男の死体を庭の使われていない井戸に捨てる。翌日、二人は隠しておいた大金がすべてなくなっていたことから、死んだ男は空き巣だったのに違いない、だからなくなった大金は死体と一緒に井戸の底にあるのだと考えた。ヘスターはキャスリンに井戸の中に入って金を取ってくるように言うが、おびえたままのキャスリンはヘスターの命令に強い嫌悪を覚え、「自分は井戸の底の男に食べ物を与え生かしてきた、そして彼を愛している」などと口走るようになる。外は嵐を前にして雨が降り続いている。涸れていた井戸の水位が雨で上昇しはじめる頃、二人の確執は決定的なものになっていた。やがて夜が明ける。キャスリンはヘスターの元を去った。しかし彼女のトランクには、井戸の底にあるはずの大金が詰め込まれているのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第50回 カンヌ国際映画祭(1997年)

出品

コンペティション部門
出品作品 サマンサ・ラング
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映画レビュー

3.0すべては井戸の中

2021年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 冒頭では人を轢いてしまうシーン。全編ブルーのフィルターをかけた映像が流れる。

 井戸に落とした男は死んでなかった?!キャスリンの演技なのか、本当に生きているのか、誰か第三者が細工をしているのか・・・キャスリンにただならぬ愛情をもって接してきたヘスターの苦悩と雨の音が空虚と恐怖を醸し出す。

 人の感情を推し量るには今までの人生があまりにも孤独すぎたヘスター。オーストラリアの人里離れた牧場自体が井戸の中。父親が死んだために抜け出そうともがいてみても、結局はかなわぬ夢・・・

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kossy

4.5巧みな心理サスペンス。

2012年5月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

知的

果てしない大地に抱かれて暮らすひとつの家。父と二人暮らしのへクター。
家政婦として雇った若い娘のキャサリン。やがて年老いた父が亡くなり二人で暮らすことになる。
だが、経済的に窮したへクターは、家の周りの土地を買いたいと話を持ってきたボーダーに土地を売る。 大金を手にしたへクターは町で遊び酔ってキャサリンの運転する車で帰る途中に男を撥ねて死なせてしまう。
家のそばにある井戸の中に死体を入れて隠す二人。

その後、隠してあったはずの土地を売った大金が消える。へクターはキャサリンに詰め寄るがキャサリンは井戸の中から彼が出てきたと話す。

それまでの関係から一転して微妙な雰囲気になっていく二人。

だが、へクターには今ではキャサリンが大切な存在となっていた。

やがて嵐が来て大雨が降る中、井戸の中から・・・。

消えた大金に絡んで互いに不信に陥り、井戸の中の死体にも恐怖する二人の女。

そんな女二人の心理と現実。

青い色調の映像がラストで意味を持ってくる演出。

サマンサ・ラングの長編第一作の残酷な大人の寓話。

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