「愛と愛なき者の街」女と男のいる舗道 bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
愛と愛なき者の街
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アンナ・カリーナが、21歳か22歳の頃に撮られたゴダール作品。1962年のフランス映画。この頃が一番美しくないですか?ちょっと色々と凄いです。女優さんとしても。
84分の映画は12分割された上で各々にタイトルがつけられ、各々に主題がありますが、もちろん一本の長編映画になっています。
離婚歴のあるレコード屋の店員ナナは、映画女優を夢見る22歳の女。友達に貸した2000フランの貸し倒れが元で家賃を払えなくなり、街でネコババで警察に捕まってしまう。一回の援交から、売春婦に身をやつし、最後にはヒモ(売春の元締め)に売られて、命を落とす。
ヌーベルバーグらしい、救いの無い物語り。ただ墜ちて行くだけのナナの不幸。11章に出て来る見知らぬ哲学者は、本当の哲学者ブリス・パランとの事で、哲学の知識のないナナと真面目に愛について談義します。しかもドイツ哲学。これも「らしい」としか。
モノクロの画面。ミシェル・ルグランの音楽。時代を超えて来た建築物。石畳の歩道と両開きの窓。不思議な郷愁を感じる映画です。パリに行ってみたくなる、と言うか暮らしたくなります。
これまで見た三作のアンナ・カリーナ主演作の中では、コレだけがリアルな演技の映画で、一番好き。女優としてのアンナ・カリーナの魅力は勿論の事、映画表現としての斬新さもあり、ヌーベルバーグのサンプルとして、見る価値はあると思います。
やっぱりアンナ・カリーナが好き。
良かった。
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