泳ぐひとのレビュー・感想・評価
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スイマーよ‼️
冒頭、いきなり林の中から海パン一丁、筋肉モリモリのバート・ランカスター演じるネッドが出てくる‼️ネッドは自分の家に帰るために、途中にある高級住宅地のプールから公衆のプールまで、そのすべてのプールを泳ぎながら家に帰ろうと思い立つ‼️これだけ聞くとワケわからん映画‼️でもこれが実に深ーい映画‼️友人には一緒に泳ぐのを断られる‼️かつて恋した女性はプールで上流階級の退廃した生活に溺れている‼️次の家の夫人からは、息子が病気の時に見舞いに来なかったからと冷たく追い払われる‼️次の家の美しい娘はネッドと一緒に泳ぐと言い出す‼️ネッドは彼女と楽しい時を過ごすが、自らの肉体に忍び寄る "老い" を痛感する‼️次の家のプールは渇いており、この家の少年の心も渇いていた‼️ネッドは彼に泳ぎを教える‼️ネッドは気づいてないが、少年は過去のネッド自身である‼️次の家はパーティの最中で、半裸のネッドは野蛮人扱い‼️次の家はネッドの昔の愛人宅で、彼女はネッドの再訪に深く傷つく‼️公衆のプールでは金を持っていなかったため、散々冷遇される‼️今までのセレブの感覚が粉々に砕かれる‼️そしてようやく自分の家にたどり着いたネッドだったが・・・‼️一つ一つのプールがまるで人生の縮図のように感じられました‼️ネッドのプライドが傷つけられ、自分の醜い姿がさらされる中で湧き上がる焦燥感、疲労感がストレートに伝わってくる‼️そしてすべてのプールを泳ぎ終えたネッドに一つのことをやり遂げたという満足感もなければ、勝利した優越感もない‼️そしてようやくたどり着いた家の玄関は固く閉ざされ、ネッドがどんなにノックしても何の返事もない‼️そしてネッドの裸の肉体に容赦なく降り注ぐ雨‼️意味のないことに情熱を燃やし、何も報われることがないラスト‼️哀しく、切なく、やるせないラスト‼️ただ見方を変えると、このラストはホントに恐ろしい‼️テニスを楽しむ娘や、料理を作って待っていてくれるはずの妻はどこへ行ったのか⁉️なぜ玄関の扉は閉ざされているのか⁉️妻と娘はネッドに愛想を尽かして出て行ったのか⁉️それともそれ以上の最悪の事態⁉️今作におけるネッドの行動は贖罪のようにも見える⁉️直接的な描写は無いので、観る者に委ねられる⁉️そう考えると、ホントにホラーなラストで戦慄させられます‼️「今を大切に、自分のためだけでなく周りの事を考えないと、大切な人を失い、取り返しがつかなくなりますよ」‼️そういうテーマが盛り込まれている気がします‼️今作はアメリカン・ニューシネマの名作と言われてますが、そんなアメリカン・ニューシネマの枠にとらわれない人間ドラマの名作ですね‼️
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