男と女(1966)のレビュー・感想・評価
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映像美と音楽で鳥肌が立ってきます
はっきり言って、この映画ではストーリー自体、それほど重要ではない。フランシスレイの音楽とクロードルルーシュの映像だけで星5つの価値があります。その証拠に、会話しているシーンでも声をサイレントにして、その代わりにバックに音楽を流しているシーンを多用しています。霧に煙る桟橋、海岸線のシルエット、いく筋もの波模様、海鳥たち、老人と犬、ムスタングでの疾走、望遠レンズから撮る二人の抱擁、そしてバックにフランシスレイの音楽が流れる、それだけで背筋がゾクゾクしてきます。最初に観た時 、アヌークエーメが綺麗な洗練された大人の女に見えたが、その時のアヌークエーメよりはるかに年をとった今観てみると、可愛い少女のようにも見えてくる。
男と女
ダバダバダ ♬ ダバダバダ♬ のメロディ、聴けば誰もが知っている、フランシス・レイの名曲 ♪
全編、ムーディな音楽がこの作品のスタイリッシュで甘い雰囲気を引き立ててくれています。
のっけから桟橋の母娘のシーン、モノクロなんですがパイプオルガンの和音と共に本当に言葉を失う程に魅了されてしまいました。
ヨットハーバー、静かにゆっくりと通り過ぎる帆船、木のデッキが続いていて、長閑な釣り人達が長い竿をたらし、風や光や、二人のきれいなシルエットや…楽しそうな笑い顔etc涙が出るくらい大好き。
この後に出てくるストリートでの母娘の買い物シーンまでの始まりから僅か5分程度の場面場面を何回も何十回も繰り返し観ては心膨らませているのです。
自分の感性にフィットした感じ。
一目惚れですね✨(笑)
ストーリーはシンプル、それぞれの伴侶を亡くした男女が週末、寄宿学校に子どもを送りに行く所から運命的に出会い、甘い想いをそれぞれの日常の中で募らせていき、そして一つの山場を向かえる…。でも男と女、すれ違い離れたり、でもまた寄りそいたくなったり…。
私のこの作品が大好きなもう一つの理由。母と父でありながら全くそんな風体を感じさせない所。スレンダーでコケティッシュなアヌーク・エーメが素敵、男はジャン ルイ・トランティニャン、カーレーサーだ。当然、運転する場面も多々出てくる、何故か初期のルパン三世を思い出す(笑)
レース直後、6000キロも離れた場所から彼女の元に夜通し車を走らせ駆けつける、その運転中の男の独り言が愉しい。ようやく着いたというのに彼女は居なくて海辺のシーン、感激の再会、互いの気持ちが最高潮を迎えるこちらも無くてはならない場面だ。その帰りに「なぜ…?」女の脳裏を駆け巡ったのは…。
そして、ラストシーンは駅 …。
ラブの王道は網羅されているのだ!
1966年作品なのも感慨深い。心情に沿った音楽、唄の歌詞がぞくぞくする程素敵。
たくさん書いてしまったけれど、本当は言葉にしたくなかった。
大好きすぎて、只、只 自分が好きなだけで満たされるのだから。
老人と犬
砂浜、海、船を捉える横へ流れるカメラワーク。
桟橋、車、老人と犬を捉えるロングショット。
これら全く物語の説明にはほとんど必要のないショットがこの映画の重要部分。男と女の話を説明するショットの合間の、これらのショットは言わば文章の行間のようなもの。つまり、これは行間を味わう映画。
夕暮れの桟橋を、犬を散歩させる老人が歩く。カメラはこれをロングでずっと追い続ける。このショットはCMやMTVのイメージに使える。1966年にこれをやってしまったクロード・ルルーシュは、時代と職業を間違えたとしか言いようがない。20年ほどで映像作家の仕事がようやく彼に追いつく。
それにしても、アヌーク・エーメの魅力には何度観てもやられてしまう。
この作品を初めて観た20代前半の私は彼女に大人の女を感じた。
それから20年経った今、私はスクリーンの中の女・アンヌよりはずいぶんと年上となった。しかし、アンヌは相変わらず自分よりも大人の女であり、その彼女を憧れの目で見つめてしまうのだ。
製作50周年を記念して、リマスターヴァージョンがこの秋公開されると聞く。アンヌにスクリーンで会えるのが楽しみで仕方がない。
クロード・ルルーシュ監督『男と女』の衝撃
クロード・ルルーシュ監督の異色のデビュー作。
まず注目すべきは人物設定の妙。それぞれに配偶者をなくし子供を同じ寄宿学校に通わせるという共通点をもつアラサーの男女を冒頭から交互に映し出しそれによって二人は運命的に出会うことを無言のうちに暗示する。モノクロームの車中、だがそこでの会話はカラー映像で語らせる:それぞれの配偶者の職業とその死を。二人の間は子供を介して少しずつ距離が縮まってゆく。影のある女アンヌはジャン・ルイよりも亡き夫をこころに堅くしまいこむ。二人の距離が決定的に縮まったのはジャン・ルイが過酷なラリーを制しそれにアンヌが祝電を送ったとき:おめでとう、愛しています。それを受けたジャンは狂喜しパリまでの600キロをとばす。そして再会。子供たちを寄宿学校に預けてホテルへ。ついに二人は結ばれる。しかしそのめくるめくときにもアンヌの脳裏には亡き夫の深い影がよぎる。これはカラーで映しだされる。「なぜ?彼は死んだんだよ」。気まずい雰囲気になる・・・。
これぞルルーシュ監督の斬新で革新的な映像処理だ。ルルーシュ監督に絶賛の拍手を送りたい。
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