「生きる歓び」男と女(1966) redirさんの映画レビュー(感想・評価)
生きる歓び
生きることの喜びとか悦びとか歓びとかあまり考えるの好きではないが、この作品は全てが美しく、生きる歓びというものがあり、そして死んでもなお生き続ける人や情熱があり、生死を問わず人はそれを糧にして生きていくのかと柄にもなく思うのだ。
やっと再びスクリーンで観れた。
ただただあまりに美しいアヌークエーメを観たいだけだったが、時を経て再び観たら、当たり前だけどそれ以上に深くて素晴らしかった。
スタントみたいな仕事の夫が仕事で亡くなり、喪失感が強い女は、夫との思い出をフルカラーで思い、今の時間子どもや知り合ったレーサーの男とはモノクロに近い映像となる。この仕掛けがぐっとくる。そしてカラーのピエールバルーとの時間があまりにも純粋で美しすぎる
レーサーの男に惹かれていくが、死に別れた夫とのような純粋な愛、暮らしはなさそうだ、、、男と女は、ピエールバルー演じる亡くなった愛を体現するような素敵な男と彼に魅了され人生を風景を歌を分かち合う女アンヌの物語。ジャンルイはまあどうでもよいというかタイトルの男ではないのだ。ジャンルイの独り言の傲慢さよ。
それでも、新しい自分を生きていくために、女は新しい愛を逡巡しながら選択していく。
子どもたちも愛らしく、女の子どもが、亡き夫亡き父に似ているところも好きだ。
映像の美しさよ。音楽も車や汽笛などの効果音も、全て美しく完璧になされている。
今2023年に見ると、
なんとも豊かで幸せな時代だったのかとも思う。
亡き夫との回想、過ごした時間がその頃の美しい時代、季節であるなら、新しく現れた男と過ごす時代季節は現在のような純粋さも自然な美しさもない感じさえする。
やがて子どもたちも男と女になる。ピエールバルーといたときアンヌが過ごしていたカラフルな、自然と歴史と共生する生ではなく、都会のガチャガチャしたセピア色の生を生きて大人になる。