恐るべき子供たちのレビュー・感想・評価
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愛情のパターンは様ざま
ジャン=ピエール・メルビル監督+ジャン・コクトー/1950
古さを感じるが、あらすじと俳優たちの美しさが魅力だった。
室内シーンが多く閉塞感があるのは内容からして仕方ないが、ロケがまだ珍しい時代でもあったのか。
彼らは…というかエリザベスは、異常だろうか?
たとえば、もし無人島に兄妹または姉弟が放置されれば、ふたりは深い関係になる可能性がある。また、子ども以外に愛するものを持たない親が、こどもを自分の傍らから離そうとしないことはありがちな話。愛情をどこにどんな形で向けるか…それは、個体差以外に、環境や生いたち、社会の状況などにかなり左右されるのだろう。
愛情のバリエーションは様々だ。
エリザベスは、ポールのアガートへの愛を認めなかった。彼女の世界は狭く自己中心的だ。しかし、大事なものを取られまいとする動物的な当然の反応ともとれる。
人間の得体のしれない厄介な側面が堂々と映画になっていて、おもしろい。
"毒姉"
ジャン・コクトーは敷居が高くて無知の領域、想像するメルヴィルの作品にしてフィルムノワールからは程遠いがスルーはせず無理に鑑賞してみた!?
序盤から声が耳障りなうるさい姉と弟が控えめながらも罵倒しあい、それが続きながら異常な関係性は垣間見れる、姉による暴走から弟が暴走して二人仲良く自滅する感じは今観るとお決まりパターンにも。
基本的には密室劇のようで古いからか演出にしても演じる役者から演劇の雰囲気を感じる、とにかく誰一人として子供には見えない、立派に成人しているようにしか!?
詩と演劇と映画のジャン・コクトーの不思議な世界
原作はジャン・コクトーの代表作。物語は実の姉と弟の愛情と依存を探るもので、最終的に悲劇に終わる衝撃的なストーリーだけを追っては理解できないものがある。それでも映像は美しく、終始不思議な世界観に誘惑されるような感覚に陥る。ここに現実的な感覚を当てはめて解釈しては、コクトーの美学に到達できないのだろう。やはり、詩であり演劇であるコクトーの独特な世界だ。
それでも、ほんのワンカットだが、この姉弟の亡くなった母親の顔が映し出される。それはとても無残で哀れな表情を見せていた。長い間の病苦を受けた顔に見える。この母の看病をしていた姉弟は、普通以上の助け合う努力をしていたに違いない。二人だけの生活が全てになっていた。そして、その姉が弟に対する愛情や嫉妬を強く意識したのが、アメリカ人の富豪の夫を交通事故で失ってからだろう。弟は学友との付き合いや理想の女性を見つけても、積極的に行動を起こせない男である。どうしても世話役に付いた姉の独占欲が強くなってしまう。姉は母親を兼ねて愛情を弟に向け、誰にも渡せないところまで行ってしまった。家族の愛情から他人との愛情の成長を経ることが出来なかったある姉弟の運命的な悲劇の物語。つまりは、姉も弟も母親からの愛情に飢えていたことが、この悲劇の発端ではないだろうか。
1977年 3月18日 池袋文芸坐
※ロクでもない感想です※
映画館で4Kレストア版を鑑賞。
き、キモかった〜〜〜という感想が飛び出てきてしまった……執着の方向性とか情緒の不安定さが姉弟ふたりともキモかったので……
役者の年齢が子供っていうには歳とりすぎてて笑っちゃいましたね……どうにかならんかったんか??? そしてあらすじに出てくるダルジュロスくん、ちょこっとしか出なかったから驚いちゃったな……
姉が弟に向けてたのは「毒親鬼女が子に向ける感情」に近い印象を受けたんだけど、原作だと違うのかしらん??
原作読まないと理解できなさそうなポイントが結構ある気はする、けど白黒の陰影がガッツリ効いた映像が綺麗でよかったです
コクトーの生の声が聞けます
コクトーの代表作を映画化した、ほとんどコクトーが監督みたいな作品。
カメラワークも斬新ですね。
弟役の人はコクトーの恋人らしいです。コクトーが推薦したから、大人が中学生の役をやる事になったのかな。
白い雪の玉を投げ、最後には黒い毒を送ってくるダルジュロスは、なんとアガット役の女優のひとり二役なんですね、見ている間は気がつきませんでした。
半ズボンをはいて見に行きたい?
原作が好きな方にはおススメです。
エヴァンゲリオンが完結した今 観るべき映画だと思います
萩尾望都の少女漫画があります
でも、なぜだか竹宮惠子の少女漫画「風と木の詩」も思い出しました
どちらも大昔に読んだきりでした
本作の役者はみんな成人です
しかしポールたちは本当は14歳です
なので映像を、そう脳内で補完してご覧頂くと良いと思います
エヴァンゲリオンのシンジが14歳なのは恐らく本作の由来だと思います
姉のエリザベートは年上なのですが、自分にはアスカ・ラングレーとして、宮村優子の声で脳内で台詞が聞こえてきました
シンジがポータブルプレイヤーでいつも聴いているクラッシックは本作の音楽だと思います
バッハの「4台のチェンバロのための協奏曲イ短調BWV1065」です
本作の為に作曲されたかのように、物語の雰囲気と不可分なぐらいマッチしています
序盤のタクシー車中でのポールが美少年ジェラールにもたれかかる耽美なシーンと、終盤の修羅場の迫力はいつまでも記憶に残るものです
エヴァンゲリオンが完結した今
観るべき映画だと思います
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