桜桃の味のレビュー・感想・評価
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じわじわボディブローのように効いてくる作品。
じわじわボディブローのように効いてくる作品。 序盤から基本は車での会話。それが至近距離の圧迫感のある画の連続なので、結構疲れる。そして、荒涼とした大地や砂埃ばかり。おもしろくもなんともない。主人公の表情もそれらと同じく。 しかし、終盤のじいさんのあたりから変化が出始める。走っている車を遠くから撮りつつ、じいさんの話が乗っかるのだが、これが見ている側へ話しているような感覚になる。そして、映像もそれまで映さなかった空や鳥、グランドを走る人、木、夕暮れ、と開放的なものを映していく。説明もなにもないが、それが主人公の視線、心境の移ろいを表現している。 ずいぶん前に読んだのでうろ覚えだが、漱石を思い出した。死のうかと相談に来た男。話を聞き終え沈黙のあと、夜空の月を示して漱石が「あの月を見て美しいと思うか」とたずねる。男は月を見上げ「はい」と答える。漱石は言う「それでは生きていなさい」。 どういうことか、は言っていなかった。この映画もそう。でも、桜桃の味はどんなに絶望していようが美味しいと思えるだろう。じゃあ生きていたら、ていう。 でも最後はどういうこと?
自殺を真剣に考えた事が無いから解らない?
解る人には解る映画なんだと思います。期待して観たんですが??のまま終わってしまいました、どうしてこんなに評価が高いのでしょうか?自分は自殺を考えた事はそりゃ人間ですから無かった事は無いですが真剣に考えた事は無いです、だからなんでしょうか?何故死にたいのか?どうして他人を巻き込まなきゃいけないのか?それって酔っぱらって死にたいと見ず知らずの隣の客に絡んでいるのと変わらないじゃないか?どうしてクルド人とかアフガン人とかトルコ人とかマイノリティなイラン国民ばかり出てくるのか?聞いていたほど映像は大したことない(悪くは無いけれど)?と思っている間にいきなり真っ暗になってあの結末です、訳が解らないうちに終わってしまいました。監督は昔教育テレビで偶然見た「鍵」の脚本家、あれは衝撃的な面白さだったので後から知ってビックリしました。でもこの作品は私はダメです、ベルイマンの中期の暗い作品群もこの作品と比べると全然エンタティメントしていますねぇ。
友達のうちはどこ
では少年だったが、今度はおっさんがあちこちまわる。
自殺を手伝ってくれるよう頼む人たちとの出会いがちょっとしたオムニバス作品みたいになっている。
別監督だが『人生タクシー』はこれを意識した?(かも)
なぜそこまでして死のうという気になったのかが、ちょっとわからなかったのだが、何か見逃したか?
桜桃の味を思い出したか、食べてみたくなったか・・・
冒頭はある意味ドキュメンタリータッチで町を歩く人に声をかけまくるオッサン。後から考えると、ここだけは完全にアポなし撮影だったのかもしれないなぁ。
最初に助手席に乗ってしまったのは兵舎へと急ぐ若い兵士。まだ兵隊になって2ヵ月で、給料だけじゃやっていけないともらしたりする。仕事してみないか?とオッサンは訊く。が、兵士は内容は?と訊き返すばかり。もしかしたら男色で、変態行為を要求されるんじゃないかとビビッているかのようだった。
二人目はアフガニスタンからやってきた神学生。自殺ほう助を頼むが、もちろん宗教上の理由で拒否するのだった。ただ、まだまだ学生であるため、オッサンの自殺を止めるまでには至らないというもどかしさ。オッサンも負けじと神から授かった命を返すだけだと説得するも、やはり交渉決裂。
いつの間にか三人目となるバゲリ爺さんが助手席に乗っていた。「わしも昔は自殺しようとしたことがあっての・・・」「桑の実を食べてるうちに自殺する気が失せてしまったのじゃよ」などと、人生の先輩らしく止め方も柔らかい。仕事は請け負ったものの、オッサンがすでに自殺する気がなくなったんだと確信したに違いない。彼は車を降り、職場である自然史博物館の中へと消えていった。
深夜、わざわざタクシーで自殺場所に向かったオッサン。しかし、どうなったかは観客に委ねられるかのように、突如何かの撮影隊と兵隊さんたちがピクニック。これで本当に自殺したんだと思う人はいないだろうけど、ストーリーの突き放し方が尋常じゃない。心地よいとも思えないし、やはり甘酸っぱさが残る作品と言えるのでしょうか。
旅は道連れ 世は情
こういう映画、嫌いじゃないですね。 音楽なし、会話は途切れがち。 口ごもる若者との気詰まりな特殊なドライブ。 淡々とした導入。 舞台は徹頭徹尾土砂採掘場。 そして同じ道を何度も何度も通るものだから、ヘッドライトしか見えない真夜中にその道を通るシーンでも、どの道のどのカーブの辺りを車が走っているのか判るという繰り返し感ね。 僕も今までずいぶんたくさんのヒッチハイカーを乗せてきたんですが、乗り合わせた異(い)なる人生との出会いはそれぞれ不思議な思い出になっています。 やかましくないイラン映画。 「オリーブの林を抜けて」と同じ監督さん。 何故か安心して観ておれる。 無音の“間”を恐れず沈黙を生かし、心情の機微のはかなさ、美しさを見つめるその国民性は、かつての日本映画と通じる何かを感じます。西のイランと東の日本の間を脈々と流れるシルクロードの“アジアの血”を実感させるのです。 本編より余韻の時間のほうが長いというこの“読後感”は、監督の魔法にかけられた証拠かも。 ・・・・・・・・・・・・ 知らない俳優さんによって演じられる海外の映画は、余計な先入観に邪魔されずに物語そのものに没入させてくれる効果があるのだと途中で気付きました。 日本で撮れば主演は役所広司?渡辺謙?辺りかな。でも旧知の俳優だとこの脚本は寝てしまう恐れあり。 だから原作や脚本は国産でも外国で撮ることでストーリーがプレーンになる、 そういう逆のパターンも、ありそうですね。 TSUTAYA 良品発掘の棚よりレンタル。
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