「旅は道連れ 世は情」桜桃の味 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
旅は道連れ 世は情
こういう映画、嫌いじゃないですね。
音楽なし、会話は途切れがち。
口ごもる若者との気詰まりな特殊なドライブ。
淡々とした導入。
舞台は徹頭徹尾土砂採掘場。
そして同じ道を何度も何度も通るものだから、ヘッドライトしか見えない真夜中にその道を通るシーンでも、どの道のどのカーブの辺りを車が走っているのか判るという繰り返し感ね。
僕も今までずいぶんたくさんのヒッチハイカーを乗せてきたんですが、乗り合わせた異(い)なる人生との出会いはそれぞれ不思議な思い出になっています。
やかましくないイラン映画。
「オリーブの林を抜けて」と同じ監督さん。
何故か安心して観ておれる。
無音の“間”を恐れず沈黙を生かし、心情の機微のはかなさ、美しさを見つめるその国民性は、かつての日本映画と通じる何かを感じます。西のイランと東の日本の間を脈々と流れるシルクロードの“アジアの血”を実感させるのです。
本編より余韻の時間のほうが長いというこの“読後感”は、監督の魔法にかけられた証拠かも。
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知らない俳優さんによって演じられる海外の映画は、余計な先入観に邪魔されずに物語そのものに没入させてくれる効果があるのだと途中で気付きました。
日本で撮れば主演は役所広司?渡辺謙?辺りかな。でも旧知の俳優だとこの脚本は寝てしまう恐れあり。
だから原作や脚本は国産でも外国で撮ることでストーリーがプレーンになる、
そういう逆のパターンも、ありそうですね。
TSUTAYA 良品発掘の棚よりレンタル。
今晩は
今作は、とても良かったです。この作品を1年半も前に鑑賞されているとは、流石、きりんさんです。(と、このレビューサイトの覇者のお方。)
配信は、WもN(オリジナル作品、可なり観ました。良作が多いですね。)も、面白いのは大体見たかなあ・・、という事で、Uに変えたら物凄いラインナップで、ビックリしてます。
あと、私の眼は極度の近眼なので、大学からコンタクトを装着しており、余り澄んではいません・・。スイマセン。
心も、どうかなあ・・。今日、”アングスト/不安”って言うトンデモムービーを観る位ですからねえ・・。近眼なのも高校から、”O嬢の物語”とか”ロリータ”とか読んでいたからですしねえ・・。ホント、スイマセン・・。
今晩、高熱が出る筈のNOBUでした・・。
NOBU さん
お便りありがとうございました。
かなり以前に観た本作。まざまざとそのシーンを思い出させていただきました!
劇中の〈対話〉と〈沈黙〉の繰り返しは、あの「星の王子さま」の旅のように、人生に関わる不思議な哲学を余韻に残すかも。
そして、なぜだろう、スタッフが登場してしまうエンディングにこみ上げる感動・・
ひとつの映画を別々に観て、このサイトで思いを共有できるって、いいですね。