「圧倒される!」黄金の馬車 Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒される!
大監督ジャン・ルノワールに圧倒される。
どんな男にも御せないカミーラという女性。私たち鑑賞者もまた彼女を御せないまま物語は進む。
その鑑賞者に向かってカミーラが、一部始終を話そうとする「語り」の意志。
この巧みに作り上げられた世界は、我々の生活に直接響くものはないのだが、彼女の意志を我々はじっくり見ておく必要があるのだ。
ヨーロッパの爛熟した貴族感覚では、「お辞儀」は形骸化しているように見える。
一方、演者がカーテンコールで行うお辞儀は生きている。観客に向けたお辞儀は、祝福の歓び・感謝・礼儀であり、神の前に膝を折るに等しい。
めくるめく精神の嵐が、肉体の上を吹いてこそ、初めて人間は作られるようだ。めくるめく嵐の中で、人間の根っこは太くなる。
こんな大名画をプライムビデオで無料で観られるとは。いやはや、当時の貴族も真っ青な贅沢である。
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