劇場公開日 1999年8月28日

「エリザベス1世版「英雄たちの選択」」エリザベス KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0エリザベス1世版「英雄たちの選択」

2022年8月25日
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ヘンリー8世~エリザベス1世関連映画で、
キネマ旬報ベストテン以内作品として
評価されたのは、
フレッド・ジンネマン監督の
「わが命つきるとも」と
この映画だけだったような記憶だが、
どうだったろうか。

女王と愛人の関係が
開けっぴろげなものだったり、
2人の愛欲シーンが侍女にさらされたまま
だったのか、真実がどうかは分からないが、

事前に、ヘンリー8世~エリザベス1世の時代
を背景とする沢山の作品を観比べると、
なる程、エンターテイメント性に
最も優れた作品に感じる。

終盤の敵対勢力を一掃するシーンは
「ゴッド・ファーザー」を
踏襲したかのような描写だ。

さて、エリザベスはアン・ブーリンの娘
との言われ方が多いが、
他の幾つかの作品観てくると、
むしろ、ヘンリー8世の血筋と言った方が
良い人物では、と感じ始めてきていたが、
この作品を観て確信した。
この作品の中で彼女自身の口から
「私は父王の娘」
との台詞が出てくる位だがら。

基本的に、個人性から公人性への変貌を
エリザベスの成長譚と
言っていいか分からないが、
NHK的に言えば、
「英雄たちの選択」的物語なのかも知れない。

史実とはかなり異なるのだろうが、
運命に流される人物像から
自ら運命を切り開く女王としての変貌を
描いたとも言えるこの映画は、
エンターテイメントとして、
見事な脚本・演出の作品だったのでは
ないだろうか。

KENZO一級建築士事務所