「【聖書(父)と、実利主義(母)の狭間で悩む青年の姿を描いた、近代版カインとアベルの物語。特にラスト20分は見応えがあるヒューマンドラマである。】」エデンの東 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【聖書(父)と、実利主義(母)の狭間で悩む青年の姿を描いた、近代版カインとアベルの物語。特にラスト20分は見応えがあるヒューマンドラマである。】
ー 恥ずかしながらの初鑑賞である。で、前情報を一切入れずに鑑賞した。
脳内にあったのは、今作がジェームズ・ディーンの出世作であった事だけである。-
<Caution ! 内容に触れています。>
・序盤は、やや凡庸(ホント、すいません・・。)な展開である。
・が、キャル(ジェームズ・ディーン)の父親の名前が、アダムである事。
双子の弟、アロンが、父の血を引く善人である事。
キャルが、出奔した母ケートの存在を求めて行くシーンから、
”これ、旧訳聖書のカインとアベルの物語を下敷きにしているのではないのか・・”と気付く。
・東部に出奔したとされる、母親ケートと、キャルが再会するシーン。
”僕は腐っている・・”と語るキャルが母に”大豆投機のために5000ドル欲しい”と言うシーン。
ー 聖なる父の生き方に会わず、出奔した母ケートが”この子は私の血を引いている”と悟り、大金を貸し与えるシーンは、印象的である。-
・アロンの婚約者、アブラが内心キャルに徐々に惹かれていく表情。
・レタス輸送の失敗で、大きな経済的な負担を抱えた父アダムに対し、大豆投機が第一次世界大戦の戦況もあり、儲けたキャルの申し出を断る冷たい父の言葉。それに対しキャルが言った厳しき言葉・・。
”パパは善人だ!僕を母さん似として観ていて嫌いなんだ!”
・一方、自分の母の実態を見て、自暴自棄になり戦中に身を投げるアロン。
<救いは、卒中になった父アダムが、それまで遠ざけていたキャルを頼りにし、それに応え、ベッドの傍に静かに座るキャルの姿である。
今作品は冒頭に1917年、モントレーの郊外とテロップが流れるので、第一次世界大戦は既に起こっている。
だが、その後の戦況の悪化により、父と母と双子の息子の関係性は複雑になって行き・・。
複雑ながら、面白きヒューマンドラマである。>
■今作の監督、エリア・カザンの孫娘が、ゾーイ・カザンであるという事を初めて知った。(オイオイ・・)
ゾーイ・カザンのパートナー、ポール・ダノ出演作品は、ほぼ全作映画館で鑑賞しているが、映画の正の連鎖であると思う。
ゾーイ・カザン出演の「ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ」「バスターのバラード」「ニューヨーク 親切なロシア料理店」も、面白き作品であったなあ・・。