劇場公開日 1998年12月5日

「まるで『X-ファイル』シリーズが終わった後日談のような作品だった!」X-ファイル ザ・ムービー 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5まるで『X-ファイル』シリーズが終わった後日談のような作品だった!

2008年11月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 まず感じたことは、本作はまるで『X-ファイル』シリーズが終わった後日談のような作品だったということです。
 モルダーは、捜査官から逆に殺人犯としてFBIに追われる立場になり、まるで『HEROS2』での冒頭のピーターのように髭を伸ばし、別人の用に登場。
 FBIの要請で超能力捜査への協力をスカリーから求められても、妹を宇宙人に誘拐されたトラウマを持ち出し、もうその世界に関わりたくないという。あのモルダーがですよ!
 モルダーがテレビシリーズの後半で宇宙人に誘拐されていた間、モルダーに変わってスカリーが超能力捜査の推進役を務めていたのですか、彼女もあの闇の中を彷徨うようなことはしたくないというのです。

 とにかく今回は、徹底した超常現象に対して懐疑的な作品になっています。これでは『X-ファイル』ファンとしてはがっかりする人も出てくることでしょう。
 98年の前作では、南極には人間を栄養にし宇宙人を育てるシステムが稼働した基地があったし、大きな組織が関わっていたという設定になっていました。
 『X-ファイル』らしい設定としては、超能力を持つ神父・ジョーが登場しますが、彼の能力すら最終的には、あるようなないようなどうともとれる話にしてしまったのです。 結局、ミステリアスな事件に魅せつつ、落としどころは『ソウ』シリーズのような人体を合成する猟奇事件の方へ持って行ったのです。
 従って、別物として見た方がすっきりするかもしれません。

 もちろんサスペンスとしては、一級の演出があり、ドキドキさせるシーンもあります。でも前作からこの作品は、ビデオを観ていないと登場人物がどういう立場の人間か分かりにくいし、説明もないので立ち上がりでストーリーについて行くのが難しいでしょう。とにかく二人の超能力捜査に対する思いトラウマぶりがどうしてなのかよく理解できませんでした。

 前作のラストの方でスカリーがモルダーにプロポーズと受け取れるような告白をしたけれど、二人の友情以上恋愛未満な関係はやや進んで、ベッドで一夜過ごすような仲にはなっておりました。捜査においては、相変わらずぶつかり合う二人でしたが、モルダーがピンチになったとき、真剣に探すスカリーの姿に、やはり愛しているのだなぁと感じましたよ。

 副題は「アイ・ウォント・トゥ・ビリーブ」とついています。医者となったスカリーが事件を通じて、「決して諦めないこと」を悟り、自らも難しいオペに取り組んでいくところはちょっと感動しました。

流山の小地蔵