「世界観が素晴らしい! フランスの監督が描く大ヒットSFシリーズの第4弾!!」エイリアン4 Jettさんの映画レビュー(感想・評価)
世界観が素晴らしい! フランスの監督が描く大ヒットSFシリーズの第4弾!!
ジャン=ピエール・ジュネ監督が「デリカテッセン(1991)」「ロスト・チルドレン(1995)」で注目された結果、ハリウッドからラブコールを受けて撮った本作、そしてこの後「アメリ(2001)」を撮っています
作品自体はシリーズ通してのダークな印象に加え、水中の描写や高低差を利用した巧みなカメラワーク、それらを監督特有の画づくりと色使いで仕上げた見応えのある世界観とビジュアルが素晴らしかった
時代設定は前作から200年後の世界
前作で死んだリプリーと始末したはずのエイリアンがクローン技術で蘇るというトンデモストーリーが原題に付いている副題の“resurrection(復活)”をあらわしていています
前作の四足歩行に続き、今回はフルCGで表現された水中を泳ぐエイリアンが登場しスピード感が出た、さらにそれに追われる人間の描写がスティーヴン・スピルバーグ監督の「ジョーズ(1975)」を彷彿とさせ、これまでにないスリリングで見応えのある展開となっていました
さらに新種としてゼノモーフとリプリーの交配種“ニューボーン”が登場、夢に出そうなグロテスクなデザインだけど、その出自と運命を考えると同情をも抱いてしまい、あの悲壮感漂う眼差しが頭に焼き付いて離れない、シリーズ屈指の何とも切ないラストになっています
本作のクローン技術で生み出されたリプリーは超人化し酸性の血液を有するバケモノになっています(笑)、そしてエイリアンも もはやホラー映画の殺人鬼の様に描かれています(笑)
前作までエイリアンが人間を襲うシーンは血は飛び散るものの間接的な描写がほとんどだったけど、今作ではエイリアンの“第二の口”が人の頭部や体を貫いて砕いたり、人の頭部が握り潰されたりと酷く露骨なゴア描写が多く、過去作に比べて、より恐怖感を煽る演出となっていて苦手な人も多いかもしれませんが演出としては一歩踏み込んだような印象を受け良かったです
そして本作はキャスティングもいい
監督の代表作「ロスト・チルドレン」でも出演のロン・パールマンさん(背の高いゴリラ顔の人)やドミニク・ピノンさん(車椅子に乗ってた人)と監督ゆかりの個性的なキャスティングを揃え、さらにシリーズ通してキーパーソンとなるアンドロイドを今回はウィノナ・ライダーさんが演じ、可愛いけど無機質な空気感をしっかり出していて素晴らしかったです
最後に、ラストシーンのバックにはフランス出身の監督作らしく荒廃したパリ、中でも朽ち果てたエッフェル塔が映り、SF映画の金字塔的名作中の名作「猿の惑星(1968)」のラストを連想させるとても印象的なエンディングとなっていて、最後の最後まで監督こだわりの映像美に酔いしれる、大満足の117分でした