「ジェイムズ・キャメロンはリプリーと同じ夢を見たか。」エイリアン2 あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)
ジェイムズ・キャメロンはリプリーと同じ夢を見たか。
一般市民の女性が人類の存亡をかけた戦いにおいて重要な役割があると知らされ、兵士とともに戦う。彼女を助けようとする兵士は傷つき、女性は自ら強大な敵を倒す。
このプロットは同じ監督によって少なくとも二回使われ、二回とも大ヒットした。
そう。ジェームズ・キャメロンの「ターミネーター」(1984年)と、1986年の本作だ。
ターミネーターでは、リンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーが未来からやってきたカイル・リース軍曹とともにターミネーターと戦う。
エイリアンでは、リプリーが企業からの要請をうけて、エイリアンのいる惑星LV426に戻る。同行するのは海兵隊で、最後まで一緒に戦うヒックス伍長を演じるのは、「ターミネーター」でカイルを演じたマイケル・ビーンだ。
前作を手掛けたリドリー・スコットは「続編については相談すらなかった」と語っている。これは推測だが、スタジオ側はターミネーターをヒットさせたジェームズ・キャメロンに、「宇宙でターミネーター」をやってくれと依頼したのではないか。
前作で冷凍睡眠に入ったリプリーは、永遠に宇宙をさまようことになりかけていたが、偶然救出されて目覚めた。なんと、57年間眠っていたという。
リプリーはエイリアンの話をするが、信じてもらえない。むしろ貨物船を爆破したことを非難される。しかも、エイリアンに遭遇した未知の惑星LV426は、今では植民地になっていた。20年以上エンジニアが住んでいると説明される。
リプリーは貨物係と働く。毎晩のように腹をやぶってエイリアンが生まれる悪夢を見ている。
企業側の人間で、バークという人物が海兵隊をつれてやってくる。植民地と連絡が取れなくなったという。リプリーに、海兵隊と一緒に惑星にいってほしいと頼む。任務を請け負ってくれたら、航海士に戻すという条件を提示される。
いったんは断るリプリーだが、悪夢にうなされて目覚めた夜。自らのトラウマと対峙し、惑星に戻る決意をする。
本作が作られた1980年代は、アメリカはソ連と冷戦状態だった。
それを踏まえると、エイリアンはソ連なのか、という推測も可能だが、そうとも言えない。
作中で核爆発について言及するシーンがあるから、冷戦における核抑止論は視野にいれているだろう。
ただ、本作における「戦争」はもっと深いところに原因があると考えられる。