劇場公開日 1971年7月17日

「世界の中で日本だけが本作がヒットしたという 大変誇らしいことだ」栄光のル・マン あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0世界の中で日本だけが本作がヒットしたという 大変誇らしいことだ

2019年9月15日
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鑑賞方法:DVD/BD

なかなか良かった
本作の監督を途中降板したジョン・スタージェスの「途方もないジョーク、800万ドルをかけたマックイーンのホームムービー」というのは言い過ぎだ
覚悟した以上にドラマがある
観終わった後の印象は甘いものであるほどだ

確かに中盤は強烈な眠気に襲われた
剰りに単調なレースシーンが延々と続くのかとうんざりもした

しかし、後半のドライバー交代で食事に行くところから俄然面白くなってくる
事故が連続し、ゴールまで残り8分のコールがあってからのシーンは正に手に汗握る
ラストシーンの祝勝シーンはカタルシスが感じれる
そして見つめ合う主人公とヒロインのアップ
そこにはレースと共に何かが終わって何かが始まるドラマがあったことを確かに感じられるのだ

カメラの映像も映画としての味わいもブリットのそれに近いものがあった
乾いている
だけどもほんの少し潤いがあるのだ

確かに普通の映画とはいえない
案の定、本作はさんざんな興行成績だった
ヒットするためにはジョン・スタージェスの意図したような人間ドラマを主にレースを従にすべきだったのだろう
しかしそんな映画は山ほどある
本作は確かにもう少しやりようはあったろうが、これで良いのだと思う

世界の中で日本だけが本作がヒットしたという
大変誇らしいことだ
抑制が効きすぎているドラマをきちんと受け止める観客がいたのは日本だけだったのだ

あき240