「映画への愛」映画に愛をこめて アメリカの夜 はんぺんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画への愛
トリュフォーの、映画への愛が本当に伝わってきます。
神経症の主演女優、台詞を覚えられない中年女優、失恋で職務放棄の俳優、駆け落ちするスタッフ、ベテラン俳優の死…色んな人が集まって、数々のトラブルが起きて、それでも映画を作るという目的のためだけに同じ方向を向いている。
そして映画を作り終えると、何事もなかったかのようにあっさり散ってゆく。
群像劇で大きな事件が起きるわけでもない。それでも胸を打つ映画です。それはなぜか?
ストーリー中、監督=トリュフォーがトラブルに魘されながら毎夜観る一続きの夢が、ひとつの答えになっています。
チャップリンのような格好で杖をカツカツ鳴らしながら、人通りのない夜道を歩く少年。
映画の撮影終了間近の夜、夢の最後で少年は、閉館した映画館の柵越しに、杖を使って映画のポスターを盗みます。
そう、どんなにトラブルに苦労しても、映画を取り続けるのは、単純に、映画が好きだから。
そんな純粋な想いが伝わってきて、心が熱くなる映画なのです。
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