「深い内容に再鑑賞が楽しみな作品の一つに…」噂の二人 KENZO一級建築士事務所さんの映画レビュー(感想・評価)
深い内容に再鑑賞が楽しみな作品の一つに…
アメリカ文学と映画の関係を解説する書籍で
この作品が採り上げられおり、
鑑賞の切っ掛けに。
なにせ、監督があの「ローマの休日」や
「ベンハー」の巨匠ウィリアム・ワイラー
だったにも関わらず、恥ずかしながら
これまで認識外の作品だった。
しかし、キネマ旬報で第9位との高評価、
更には、なんと、原作の脚本が
「ジュリア」のリリアン・ヘルマン
と知って、ますます期待が高まる中での
初鑑賞となった。
事前の情報を読まなければ、
女同士の関係はビジネス上、
あるいは深い友情くらいにしか
感じなかったであろうとの前半。
しかし、後半になって、程度は別にして
同性愛的要素もあったことが匂わされ、
その結果として世間の糾弾を受け、
二人は社会的地位も失ってしまう
展開になって、更なる悲劇が。
ワイラー監督の2度目の映画化とのこの作品、
1作目では当時の社会的な制約で
二人のレズビアニズムを表現出来ず、
マーサは自殺もせず、
カレンはジョーとの結婚を匂わすとの
ハッピーエンドに満足しなかったための
再映画化だったとのこと。
ところが、2作目の上映時には
時代的にインパクト性を失っており
評価が芳しくなかった皮肉な結果に、
と冒頭の書籍にあった。
しかし、私には意味ある鑑賞となった。
カレンが一人で歩み始めるラストシーンは、
彼女がLGBTQ差別撤廃運動等、
社会運動のリーダーの象徴として
容易に想像出来たので。
前記の書籍では、
“モラル”と
“生物学的再生産性を目的とした…
人間関係から解放された「個人」という属性”
についての作品とあって、
まだまだ深い内容が織り込まれている
ようなので、
再鑑賞が楽しみな作品の一つとなった。
共感ありがとうございます。
私は軽い気持ちで見始めまして、
会話劇のような映画でしたね。
ラストには本当に驚きました。
罪の意識がマーサの生きる力を奪ったのでしょうか。
余韻が深く残りました。