「Cowboyの人生」ウィル・ペニー everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
Cowboyの人生
前半はなかなか本題が見えてこないのですが、cowboysの日課や暮らしぶりを知ることができます。
主人公は48か49歳くらいのベテランカウボーイWill Penny。
40代後半で既に爺さん呼ばわりされて本当やりきれないのですが、Wild Westで育っただけあり、先住民に負けず劣らず実践的な知恵と技術を身に付けています。
”Shane”と類似点がある作品ですが、Shaneと違ってWillはそこそこ身の上話をするので、彼が孤児でこれまでクリスマスを祝ったことも、教育を受けたこともない文盲という過去が見えてきます。坊やを名前でなく ”Button”と呼ぶように、恐らく彼自身も小さい頃に周囲の大人から”Penny”とあだ名を付けられていたのでしょう。
一緒に歌おうと言われ戸惑い、懐いた坊やに抱きつかれ感動のあまり涙を堪え切れないWillの表情に心を動かされました。次から次へと仕事を得て毎年厳しい冬を越すことだけ、仲間がいてもいなくてもただ生き残ることだけを考え、孤独が当たり前だった男が50歳を前にして、初めて暖かいクリスマスを味わい、家庭の愛情を知った、そんなWillの湧き上がる心の震えが伝わってくるようでした。受難の正直者を演じるならやはりCharlton Heston!なのですが、彼のこんな演技を観たことがなくて、ここで星が増えました。
無骨で無粋なWillは、Shaneの謎めいた雰囲気を取り除いたような男なので、カッコいいと思うかどうかは意見が分かれそうです。想いを寄せる女性から懇願されても去っていくのは、彼女のためと言うより、怖気付いているだけにも見えなくないのです。
“There’s no living with a killing.” と言い残し、ガンマンとしてしか生きる道がないことを悟っているShaneの去り方とは、少し次元が違う気がします。異なる生活習慣に馴染むにも、人生やり直すにも年を取りすぎた…っていうのは、cowboysに限ったことでもないですよね。目的地までせめて護衛兼案内役くらい買って出ても良かったのに…と思いました。しかしながら、このWillの諦めはとても現実的だと高評価だったようです。
Cowboyとして生き、cowboyとして人生を終える、逞しくも不器用な男。
気づいたら、この世界しか知らなかったー
それが幸せなのか不幸なのかは人それぞれ。
別の道を選ばなかったWillはこの先後悔するのだろうか。これで良かったんだと本気で思えるのだろうか…。寂しいアラフィフおじさんの行く末を思うと切なくてなりません。
とりあえず、お風呂はもうちょっとこまめに入って欲しいかな(^^)。
医師が床屋と郵便局もやっていて楽しそうでした。
“We don't all have the same choices. We just don't all have the same choices. We did what we thought was right.”
“Reckon it's just a case of too soon old and too late smart.”