ウイラードのレビュー・感想・評価
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ネズミパニック映画と思いきや・・・
ネズミはリアルでは忌み嫌われるものの、ディズニーのミッキーマウスといい、トムとジェリーといい、アメリカではネズミが主人公の作品が多い。27歳の青年ウイラードがネズミと仲良くなるには歳を取りすぎている気もするし、ハイジじゃないんだから、偏執的で根暗な性格といったイメージしか残らない。
亡父が創設した会社の従業員として働くものの、新社長マーティンからは過剰なまでの仕事を押し付けられ、いびられっぱなし。父が遺した大邸宅も母との二人暮らしでは広すぎるし、給料も上がらず、マーティンからは家を売ってくれと懇願されるほど。嫌味なマーティンはウイラードだけのけ者にしてパーティを開いたりするので、飼いならしたネズミの大群をパーティ会場に荒らさせたりするのだった。かなり陰湿・・・
やがて税金を納めなければ家を売れというお達しが来てしまい、金に困ったウイラードは会社の顧客宅をネズミを巧みに利用して強盗したりする。そして、新人の女子社員とも仲良くなるのだが、彼女とともに解雇通知が・・・
個人的怨恨でネズミパニックを起こすという陰湿な作品でもあるが、気持ちはわかるものの正当なやり方で解決しようよ!と言いたくもなる。母親が亡くなった時点で家を売ることを考えるのが普通だろうに、こだわりがあったのでしょうね・・・ネズミだけじゃなく。
演技はみんな下手だし、ストーリーも共感を得られるものじゃないけど、アーネスト・ボーグナインの嫌味な演技だけが光っていた。
自分の悪意も危険
動物パニック映画と言うよりは心理劇に近く、ネズミは主人公の悪意の比喩と思われる。主人公は、自分の責任ではない事で、周囲から不当な非難や嘲りを受け、理解者を誰も得られない。孤独の中、現れたネズミは、友ではなく、主人公が無意識に自分の内面で育てた悪意が形となったものに過ぎない。現実にも自分の悪意を反映する者を友としている者はいる。
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