劇場公開日 1984年7月7日

「私は、これで冒険家は諦めました(笑)。」インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5私は、これで冒険家は諦めました(笑)。

2024年6月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

興奮

萌える

って、運動能力も、困難解決能力も、体力もないので、最初から無理ですが(笑)。

虫・虫・虫!!!!
G君が1匹飛んできただけだって、ウィリー化するのに。
やっとダンゴムシ君が触れるようになったのに。
家には、魔よけの如く、虫よけをいたるところに置いているのに。
あんなに虫のオンパレード!!!しかも、これでもかとじっくり、しっくり見せる。湿った薄暗い場所なら当たり前か。
アンデス展で観たミイラの方がまし!と思ってしまう。
秘境どころか、近くの森や洞窟も、よく周りを見てから踏み入れるようになってしまった(笑)。
 『世界ふしぎ発見』のレポーターに憧れていたこともあったのに…。断念。

『インディ・ジョーンズ』第2作。『レイダース』の前日談。
 インディ、キャラ変?
  ダイヤと交換?『レイダース』では、「考古学的に価値あるものは博物館に」とか言って、アマゾンの地元民が崇め奉っている遺物を盗んだのに、今回は…。完全に、トレジャーハンターとしてのふるまいが強くなっている。
 なのに、晩餐の席順は軍の司令官より上席。イギリスではどういう位置づけ?
 世間の常識との整合性関係なく物語は進む。物語としての盛り上がりこそ、すべて!

初見は、まさしく、ジェットコースタームービーに追いまくられた。
 アクションだけでなく、カトゥーンコメディあり、ロマンチックコメディあり。子どもの活躍あり。
 多くの方から指摘されている異文化への違和感に引っかかりつつも、物語としての面白さに畳みかけられる。

でも、ちょっと、やりすぎ?

2回目以降の鑑賞になると、一つ一つのシーンが長くて、DVDだと、自分のお気に入り場面まで飛ばしたくなる。
 なんか、もうアイディアが溢れてきて止まらなくなり、適度な取捨選択ができなくなってしまったかのよう。けっこうこれでもかと言う繰り返しが多い。
 上海での大混乱。見事なアンサンブルなのだが。
 晩餐メニューも2品くらいでいいかな。
 隠し部屋での、ショーティのやらかし。1回でいいよ。そしてまた、ウィリーが繰り返す。コメディのつもり?ウィリーが助けに来るシーンももう少しサクッとして欲しかった。
 儀式の場面は不気味さが迫力。でも、ウィリー危機は、繰り返しがしつこく、手に汗握るととるか、飽きるかは微妙なところ。
 すべて、一難去ってまた一難なのだが、そのシーンだけならじっくり見たいが、通してみると、まだあるの?と間違って大食い競争に出た気分。ショートカットしたい。
 とにかくひらめいたアイディアをすべて突っ込んだ感じ。

ショーティの活躍。マハラジャの行動。たくさんの子どもたちの救出。と、子どもをターゲットにしているのはありありと。
 残虐さも、おどろおどろしさも、出てくるアイテムも、ギャングエイジ男児のファンタジーが溢れている。ハロウィン・イベントのノリ。ウィリーがぎゃあぎゃあ叫ぶのも、この年頃の男の子、こうやって人を驚かせるの、好きだよね。
 制作陣が、児童に戻って、乗りに乗って作った感じがあふれ出ている。

ジャッキー・チェン氏の映画っぽいコメディセンスも散見。
 兵士とインディとの追いかけっこ。兵士がインディの行く手に突然現れる。二人揃って刀を振るい決めるシーン。YouTubeで拝見した水曜ロードショーでの水野晴郎氏は、『レイダース』のセルフオマージュと解説されていたが、インディの表情から、私にはジャッキー・チェン氏の映画の雰囲気も感じ取ってしまう。

サバド。悪魔崇拝。
 USAにもあり。『デビルズ・ノット』で取り上げられた実際に起こった事件のように、背景にサバドがあったのではないかと言われる事件は後を絶たない。子どもの誘拐は、人身売買を目的としたもの以外にも、生贄のためとも恐れられている。
 欧州もしかり。
 たまたま、今回はインドを舞台にしている。確かに、カーリー神の表面的な説明だけを聞くと…。
 メスを使わない外科施術。実際に、TVや雑誌で「びっくり人間」として報道されていた。手塚治虫先生の『ブラックジャック』にも、そういうことができる方を扱った話があった。尤も、報道や『ブラックジャック』の方は、神秘的な力・聖人の術として、人々の役に立つ使い方だったが。
 そんなあれこれをベースに、私の中の好奇心は、怖いもの見たさを、よくここまで映像化してくれたとワクワクしてしまう。『エコエコアザラク』『恐怖新聞』『魔太郎が来る』にはまっていた身としては。

とはいえ、ここに出演されていたインド系の方がたはどう思ったのだろうと心配になってしまう。
 日本にだって、横溝正史氏シリーズのおどろおどろしい作品は枚挙にいとわないが。日本人が日本を舞台にして作っているのとは違う。
 教主を演じられたプリ氏は「現実ではないファンタジーを描いた映画」と割り切っているとWikiにはあったが。宰相を演じられたセス氏は、晩餐のシーンについて監督たちの意図を組みつつ「現場ではすべった」とあったが。

YouTubeで拝見した、『日曜洋画劇場』での淀川先生も、水曜ロードショーでの水野晴郎氏も、上映前後の解説では魔宮のシーンのコメントはない(笑)。

有色人蔑視の現れという人もいる。
 けれど、村で出された食事を口に合わないとしても、「ここの人々の七日分の食料だぞ」と、その心づくしに応えようとするシーンもあり、単に、有色人蔑視だけとは思えないのだが。
 心が高揚する物語を提供したい。その一心なんだろうな。だからと言ってなんでもやってよいわけではないのだが。

 Wikiによると、ルーカス氏とスピルバーグ氏が乗りに乗ってアイディアを出しあい制作したが、ルーカス氏の思惑にそって作ったらしい。ルーカス氏は「暗い」映画を作りたかったらしいが、題材こそ暗黒だが、勢いがありすぎて、騒々しい明るい活劇となった。
 制作陣の勢いに乗れるかが、評価の分かれ目。
 私的には、もう少しすっきりしてくれたら、最高の1本なのだが。

とみいじょん