いますぐ抱きしめたいのレビュー・感想・評価
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すれ違いを止めるために抱きしめる
ウォン・カーウァイ監督デビュー作品。
デビュー作からおしゃれでかっこいいとかもう最高です。
マフィアの抗争での男の友情パートと恋愛パートのアンバランスさも全く問題なし!!!若者の刹那的な生が十全に描かれているということです。
アンバランスであることも「すれ違い」が起こっているからだ。
マフィアの抗争では、対抗するグループの間で仲違いが生じているわけで、アンディと弟分との関係もそうだ。彼らは分かり合えない。だから喧嘩になってしまう。
アンディとマギーの恋愛もそうだ。彼らははじめ親戚でしかなく、彼女の通院のために関わっているだけだ。そしてアンディはマフィアに関わる危険な男であり、マギーは病気がよくなったら地元に帰ってしまう。マギーの美しさによって二人が接近しようとも、抗争が彼らを断絶させる。途中で映される2台のバスのすれ違いが彼らの運命を暗示しているようだ。
けれどアンバランスは「すれ違い」を生じさせつつも、互いを補う「助け合い」にも転じる。アンディは弟分を何とかして助けたい。そのために抗争に巻き込まれてしまうわけだが、原理は助け合いだ。
マギーとの恋愛は、当初は病気であるマギーを看病するようにみえつつ、実はアンディがマギーに食器を調えられたり、料理をつくってもらうなどケアされる側であることに可笑しさと釣り合いがある。そして彼らがランタオ島で平穏に暮らすための助け合いが彼らを結びつけるのだ。
しかしその助け合いも水泡に帰するように、悲劇と化してしまう。アンディは弟分の一大奮起の襲撃に参戦し返り討ちに遭ってしまう。死んでしまったらマギーとの未来はない。あまりにも悲しい結末だ。けれどその悲しさは若者の生の儚さなのかもしれない。
他にも抗争によるアクションシーンは、食べ物とか瓶などが盛大にひっくり返されて見応えがあるし、アンディとマギーがランタオ島で再会し、アンディがマギーの手をひいてキスをすることを1カットでみせるのは凄い。
物語もルックも素晴らしい。みることができて本当によかった。
ホモソーシャル
ウォンカーワイというと、恋する惑星や花様年華みたいな恋愛映画のイメージがあるが、この作品はタイトルから想像されるようなアンディとマギーの恋愛ではなく、兄貴と子分のホモソーシャルな関係をちょいオシャレに撮った人情マフィアもの。日本語タイトルはなんか違うよな。でもなぜにこの2人の関係が深いのかは物語からは読み取れなかったな。なぜアンディよ、最後でてきたんだ?というか、マギーは従姉妹だし、どうなんよ。斬新さや香港ノワールぽさは好きだけど、ウォンカーワイはマフィアものでなく、恋愛もののほうがよい。
WKWは、あっちに舵を切った
香港の鬼才ウォン・カーワイ(WKW)監督の記念碑的デビュー作がリマスターでリバイバル上映です。僕は初めて観ます。
この邦題から日本でも当時流行っていたトレンディドラマを想像してたらとんでもありませんでした。街のチンピラの無軌道な暴走物語が主流で、そこに恋愛劇が絡んで来るというお話でした。この邦題は如何なものでしょうか。
WKWはこのままギャング映画に突き進む事も出来たでしょうが、ネットリした甘さの漂う恋愛映画に舵を切ったんだなとよく分かる作品でした。 (2024/1/9 鑑賞)
独自のスタイルの片鱗が垣間みれるデビュー作
『いますぐ抱きしめたい』(1988)
監督デビュー作。
当時は題名の響きの良さに惹かれてレンタルビデオ店で手にした思い出が。
内容は香港ノワール、任侠作品。題名の割にラブストーリーは少なめ。
きちんと起承転結で描かれておりながら、独自のスタイルの片鱗が垣間みえますね。
当初は『モンコク・カルメン』との邦題だったらしいですが変更して大正解でしたね。
香港ノワール
これがノワール映画っていうやつね、という要素満載の香港映画。
展開早すぎ、血の気多すぎ、ツッコミどころ満載。80年代のディープな世界観が良かった。
ただしクリスマスに観る映画ではなかったかな。
素晴らしかった
30年ぶりに見た。劇場では初見。スタアの魅力はすべてのツッコミどころを吹き飛ばすという、香港映画の特徴を最大限に発揮している。3人それぞれの美しい瞬間が、わかりやすいストーリーとがっちり噛み合って提示されるので、感情移入の深さが全然違う。そんなシーンが最初から最後までみちみちに詰まっているので、90分どっぷりと堪能できる。
ロマンス強めの香港ノワール
ウォン・カーウァイ監督の初期2作品の4Kレストア版を上映する、
ウォン・カーウァイ ザ・ビギニング
にて観賞。
ウォン・カーウァイ監督の1作目ですが、今まで観た事なかった。
妖しく煌びやかに輝くネオンや、薄汚く古めかしい路地など、これぞ香港な、香港らしい画、が堪能できます。
タイトルからラブストーリーかな?と思ってたけど、
ロマンスが強めに入った香港ノワールって感じで、
ラブストーリーよりノワールの方が強い。
『欲望の翼』に近い。
でも『欲望の翼』の方が好き(笑)
なんか、終わり方から、日本の某ドラマを思い出した(笑)
影響うけてる?
ネタバレに通じるのでタイトルは伏せときます(笑)
かしこ(笑)
カーワァイの作品で話は一番好きかも。
色んな監督の長編一作目は見るようにしてる。
実はウォンカーワァイはあんまり得意ではない。映像や編集、美術、あと女性達は好きなんだけど登場する男性に感情移入全く出来ない。
ヤクザとかギャングとか、シノギとかプライドとか全く自分の中に響く物が無いのでしょうがない。
さらに後期の彼の作品は行き当たりばったりでカッコいい映像と台詞で話をただ繋いでる感じで辛いのだが、さすがに一作目なのでプロットきちんとしてて見やすい。
話はダメな舎弟を庇って、よい女と人生を棒に振るバカ男の話。
青臭く垢抜けない、でも熱い
我慢の出来ない乱暴者のジャッキー。兄貴の様になりたいと思いつつ、一人では何一つ上手く出来ない。
そんな現状を受け入れられずに見境なく噛みつき騒ぎを起こすジャッキーを、ひたすらに庇い続ける兄貴分のジャッキーのブレずに筋を通し続ける姿が格好いい。今どきではないが、昔の映画やドラマはこんな男性的な価値観だけで作られた作品ばかりだった気がする。
後の作品に比べると、何もかも垢抜けない気がするが、どんな方向を指向しているのか良く伝わってくる。少し青臭ささを感じる良い映画だと思う。
【ウォン・カーウァイ監督が従来の香港ノワール映画に新風を吹き込んだ記念碑的作品。】
■香港。ギャングの一員として生きるアンディ(アンディ・ラウ)の元に、従姉妹のマギー(マギー・チャン)がやって来る。
借金の取り立てに苦戦する弟分のジャッキー(ジャッキー・チュン)を助けた後、恋人メイベルから堕胎したことを聞いて荒れるアンディ。
これを機に、アンディとマギーは次第に心を通わせて行くが…。
◆感想
・ご存じの通り、今作はウォン・カーウァイ監督の、長編デビュー作である。
・従来の香港ノワール映画と明らかに違うのは、
1.センシティブなエレクトロポップの使い方。
- 今作では、ベルリンの”Take My Breath Away"のカヴァーバージョンが、随所で頻繁に流される。-
2.藍を基調にした、映像美。
今作は、長年ウォン・カーウァイ監督作品を撮ったクリストファー・ドイルは撮影していないが、ウォン・カーウァイ監督が、今作以降も拘った映像美が、随所で描かれる。
<今作は、香港の裏社会に生きる哀しき男と、その前に現れた女のラブストーリーである。今作からウォン・カーウァイ監督の快進撃が始まった記念碑的作品である。>
今すぐ子分を抱きしめたい?
今、観るとすごく懐かしい。
アニキと子分の絆を強く感じます。
どんなに好きな女がいても女を置いて子分の元に駆けつけてしまう男同志の義理人情の世界。
ある意味、1番愛されてるのは子分だったのかもなあ。
ある意味1番愛されてるのは
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