「「神は死んだ」?」田舎司祭の日記 imymayさんの映画レビュー(感想・評価)
「神は死んだ」?
世界大戦という、既存の秩序がひっくりかえってしまうような大きなことが起こって、そして、終わっていったあとで、もはや神を容易に信じることができない時代においての司祭の苦悩が描かれていた。(1950年公開の映画)
ニーチェの「神は死んだ」が、哲学というある意味では高尚な思想から、だんだん人々の日常のレベルに降りてきて、生活のなかで、実感として直面しなければならなかった時代のことなのかもしれないと思った、司祭の担当する教区の人々にも、もはや神を信じることができなくなっている人々の姿も描かれていたから。
神にいくら祈っても、不倫問題は解決しないし、大事な人は死ぬし、病気もよくはならない。神を信じている人ほど、それは自分の祈りが足りなかったり、行いが悪いからだ、と自分を責めてしまう、
それでも、司祭は、神を信じて死んでいく、それはなぜだったのだろう、
司祭が自分は結核じゃなくて、胃癌だった、と言うのも気になるところ。昔、結核で死ぬのは美しいこととされていた時代もあったから、それもなにか関係あるかもしれない、
司祭なのだから、全てを神の前で告白し祈祷すればいいものの、日記でなら思ったことをありのままに書いても差し支えはないだろう、と思ってしまうところ自体に、無意識的な信仰の揺れを感じられるのかもしれない、と思ったりもした。
コメントする