怒りの河(1951)のレビュー・感想・評価
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【一度は腐っても真人間に立ち戻る者と、腐ったままの人間の辿る運命を、西部開拓団と金鉱夫達との食料争奪合戦を軸に描いた作品。】
■開拓団の道案内を務める皆からの信頼厚いグリン・マクリントック(ジェームズ・スチュワート)は、リンチに遭い、吊るされかけていた無法者・エマーソン・コール(アーサー・ケネディ)を救出する。
2人は友情を築くが、コールはポートランドの賭場に留まり、グリンは新たなる土地も求め。開拓団を率い、旅を続ける。
そんなコールと恋仲になる開拓団の娘ローラ・ベイル(ジュリア・アダムス)だが、彼女の父ジェレミーは、コールの事を良く思わない。
やがて冬になり、食料が届かないことを不審に思ったグリンがに戻ってくるが、食料は高値で金鉱夫たちに売られようとしていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・開拓団の道案内を務める皆からの信頼厚いグリンは冒頭から、一貫して良き男として描かれる。そして彼が助けたコールと友人になる。
そんなコールに惹かれた開拓団の娘、ローラはコールと恋仲になるが、ローラの老練な父は”一度、腐った林檎は腐ったままだ。”と吐き捨てる。
この言葉が、最後半に効いてくるのである。
■ストーリー展開としては、グリンとコールの交友を軸に描かれる。そして、若きロック・ハドソン演じる粋な若者トレイ・ウィルソンもチョイ役であるが印象的である。
・開拓団の食料を金づるにしようとしたコールが”腐った林檎”としての本性を表すシーンからの、グリンの執念の追求のシーンが見所であろう。
姿を見せずに、ライフルでグリンを殺しに行った金鉱夫たちを次々に射殺していく姿なきグリン。
それに焦るコール。
<そして、二人は激流の中、一対一で激しく素手で戦い、”腐った林檎”は濁流に呑まれて消えて行くのである。ロープで川から助け出されたグリンの首の傷を見て”その傷は?”と問う声に対し、グリンは笑って”昔、吊るされた時の傷さ。”と答えるのである。
今作は、シンプルではあるが、人間の本性について考えさせられる面白き西部劇である。>
充実の映画なのです
充実した画面構成が、すみずみまで行き渡っていました。あいかわらずジェームズ・スチュアートは安定しているし、アーサー・ケネディの格好良さも目を惹きました。文句のつけようがない映画なのです。
こういう映画を見られると、単純に幸せな時間だったと思えるのです。
演出が古いし押し付けがましさも感じる
総合60点 ( ストーリー:65点|キャスト:65点|演出:55点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
先住民との戦いの場面も迫力に欠けるし、会話もいかにも科白を喋っていますという感じだし、制作年代通りに全体に演出が古い映画。それにまるで道徳教育を見ているような正義と人生やり直しの救いの話でもあって、そこにちょっと押し付けがましさも感じる。金採掘とそれがもたらす悪徳業者による食糧問題のことは本当にありそうで面白い。開拓団の旅路の困難さと雄大な自然を取り上げているので、あっさりとしていたそこをさらに掘り下げればもっと良くなったのではないかと思える。
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