「なぜ涙があふれ出るのか」E.T. ihatakaeightさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜ涙があふれ出るのか
地球に取り残された異星人と子供達の交流を描いたスティーブン・スピルバーグ監督の不朽の名作を記念IMAX上映にて鑑賞。
最後にE.T.を見たのはUSJのアトラクション以来、大人になってから映画は見ていなかった。
1980年代アメリカ西海岸の新興住宅地が舞台。区画された住宅地の広い道、立派な住宅、さぞ当時のアメリカ新興中流階層の幸せな家庭かと思いきや、裏庭はトウモロコシ畑が迫っており、家の裏はずんべらぼんの山、車の出庫も一苦労、父親は他の女とメキシコに行ってしまったと、「大人の事情」が垣間見える。
しかし、子供たちは「大人の事情」なんてお構いなしだ。その無邪気さは観る者を安心させる。エリオット少年も子供達も、そしてE.T.も「ヤンチャ」だ。折に触れエリオット少年の顔のアップは、大人になった私達に子供の気持ちを想起させる時間を与えてくれる。母親が妹にベッドで読み聞かせているピーターパンの物語が「大人の事情」と「ヤンチャ」の微妙な境界線を表していると感じた。
印象的なのは、E.T.を想うエリオット少年のセリフだ。
「僕が君を守ってあげる。一緒に大きくなろう」「君がいなくなって僕は何も感じなくなった」まるで一遍の愛の詩である。涙が自然とあふれ出た。無償の愛とはかくも単純で深いのか、純粋さとはかくも明快で優しいのか。心を打たれるわけである。
極めつけは、ジョン・ウィリアムズのテーマ曲。時間と金をかければ、名曲が生まれるわけではない。満月を背景に空を飛ぶシーンで、この曲が流れると、また涙が自然とあふれ出た。なぜ涙を出たのか。何が心の奥にふれたのか説明ができない。名画に名曲ありだ、こういった創造力の巧みさにいつも驚かされる。
今回は記念IMAX上映の機会に恵まれました。機会があれば映画館の大スクリーン大音響で鑑賞されることをお勧めします!
ihatakaeightさんフォローありがとうございます。「大人になった私達に子供の気持ちを想起させる時間を与えてくれる。」そして涙が出る理由を言葉に表せなくても琴線に触れる映画でした。