「観てから読むか?読んでから観るか?」荒鷲の要塞 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
観てから読むか?読んでから観るか?
アリステア・マクリーン!
この原作者の名前に注目
ナバロンの要塞の原作者でもあると言えば多くの人が判るはず
冒険小説界の巨塔
推理小説界になぞらえば、アガサ・クリスティにも匹敵する程の人
脚本を本人が書いています
傑作と名高い同名の冒険小説は実はこの映画のノベライズになります
観てから読むか?読んでから観るか?
この宣伝文句は角川映画のものですが、海外では本作のように遥か昔からある手法
本作はまさにこれ
本作を観て感激したなら、是非とも小説を呼んで欲しいと思います
小説を読んでいるのにまだ観ておられないなら、それはもったいな過ぎます!
直ちに観るべきです
二転三転するストーリー
敵要塞に潜入する特殊部隊の中に裏切り者のスパイがいるらしいのですが、隊員の誰かわからない
いや、もしかしたら部隊の指揮官その人だって怪しい
ただ一人参加する米軍将校だって怪しいと思えば怪しい
司令官だって、信用して良いかどうか
実にマクリーンらしさが濃厚濃密です
冬季の雪深いアルプスの山中の絶壁の頂に建つ古城
ロープウェイでしか城下町から往来も出来ない
城下町のオーストリアの田舎町はドイツ軍がひしめいて駐屯している
不時着して捕虜になった米軍少将がそこに虜になっている
その奪還作戦が発動する!
撮影がまた素晴らしい
このような土地のしかも薄暗い冬季によくぞ映画を撮ったものです
エキストラ達の顔付き身体つき、入念な考証のドイツ軍軍服、装備品、車両、銃器
どれもこれも素晴らしい
味方の弾は命中しても敵の弾は当たらない
007だって大抵のアクション映画はそんなもの
そんなことはとるに足りないことじゃないですか!
たぶん監督そんなこと百も承知でワザとこれやってると思います
敵との心理的な駆け引きこそが本作の醍醐味です
二重三重に裏の裏を掻く、謎解きされてもそれが本当であるのかすらわからない
その過程を楽む映画なのです
激しい撃ち合いや派手な爆発シーンしか見ていなければ、本作の面白み、奥深さは半分以上捨てているも同然
女性工作員の働きぶりも見もの
さすが情報戦、諜報活動、秘密工作の本家本元イギリスの凄さと伝統の厚みに圧倒されます
ロープウェイの屋根の上での格闘は、1979年の007 ムーンレイカーでもありますが、おそらく本作が元ネタ
本作は合成がバレバレですが、それでもハラハラドキドキ感は強烈な印象が残るものです
クリント・イーストウッドは米軍特殊部隊の将校役で、終盤は撃ちまくるは、爆弾を仕掛けまくるわと大活躍します
大満足の作品です
ナバロンの要塞、ナバロンの嵐、本作
マクリーンの第二次大戦欧州戦線もののこの三作の中でどれが一番面白いと問われたなら
本作を推します!
ナバロンの要塞は確かにカタルシスがあります
しかし冒険小説の読後感に似た満足感を得られるのは本作なのです